第20回 言語聴覚士国家試験 第103問
神経系第20回
エピソード記憶に関わっているのはどれか。
a.海 馬
b.小 脳
c.被 殻
d.赤 核
e.乳頭体
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — a,e(海馬と乳頭体)
エピソード記憶(具体的な出来事や時間・場所の情報を含む記憶)には、海馬と乳頭体が関わります。海馬は記憶の固定化に必須の構造で、乳頭体は視床下部から海馬への情報処理を中継する重要な核です。これら2つは記憶システムの中枢を形成しています。
---
【各選択肢の解説】
a. 海馬
✅ 正しい。海馬は新しい出来事を「いつ、どこで、何があった」という具体的な状況とともに記憶するエピソード記憶の固定化に不可欠です。側頭葉内側にあり、記憶障害の研究でも海馬損傷が選択的にエピソード記憶を障害することが実証されています。
b. 小脳
❌ 誤り。小脳は手続き記憶(運動学習や技能など無意識的な記憶)に関わる構造です。エピソード記憶ではなく、「自転車の乗り方」「楽器の演奏」といった反復学習による記憶に関与します。
c. 被殻
❌ 誤り。被殻は錐体外路系の構成要素で、姿勢・運動制御に関わります。基底核の一部として手続き記憶や習慣形成に一部関与することはありますが、エピソード記憶とは直結しません。
d. 赤核
❌ 誤り。赤核は中脳にある構造で、運動制御(主に四肢の協調運動)を担当しています。認知機能や記憶機能とは無関係です。
e. 乳頭体
✅ 正しい。乳頭体は視床下部の後部にあり、脳弓を通じて海馬とつながり、記憶情報の処理・中継に関わります。乳頭体の損傷によりエピソード記憶の欠陥が生じることが知られており、Wernicke脳症でも乳頭体の萎縮がみられます。
---
【試験対策ポイント】
| 記憶の種類 | 関連構造 | 機能的特徴 |
|---|---|---|
| エピソード記憶 | 海馬・乳頭体 | 「いつ、どこで」の文脈付き記憶 |
| 手続き記憶 | 小脳・被殻 | スキル・無意識学習 |
| 意味記憶 | 大脳皮質 | 知識・概念(文脈なし) |
脳部位の機能分類:
- 側頭葉内側:記憶システム(海馬)
- 視床下部周辺:内分泌・記憶中継(乳頭体)
- 小脳:運動学習・協調性
- 基底核(被殻):習慣学習・運動制御
- 中脳(赤核):運動制御
頻出の誤りパターン:
- 小脳との混同→小脳は「手続き記憶」(運動スキル)であり、エピソード記憶ではない
- 乳頫体の過小評価→海馬ほど有名でないが、記憶システムの中継核として重要