STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第27回 言語聴覚士国家試験 第24問

神経系第27回
小脳の障害でみられるのはどれか。
  1. 1.声量低下
  2. 2.再帰性発話
  3. 3.断綴性発話 ✓
  4. 4.音韻性錯語
  5. 5.痙攣性発声障害

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — 断綴性発話 小脳障害による構音障害は「失調性構音障害」であり、その特徴的な音声症状が断綴性発話(スキャニングスピーチ)です。小脳は運動の協調性と調整を司るため、障害されると音節を一音一音ぎこちなく区切って発話するようになります。 --- 【各選択肢の解説】 1. 声量低下 ❌ 誤り。声量低下は弛緩性構音障害(下位運動ニューロン障害)に典型的です。球麻痺で声帯閉鎖不全があると声量が減少します。小脳障害では声量低下は一般的ではなく、むしろ音の力強さより協調性の問題が顕著です。 2. 再帰性発話 ❌ 誤り。再帰性発話(palilalia)はパーキンソン病などの錐体外路障害に見られ、同じ言葉を繰り返す現象です。小脳障害では見られません。 3. 断綴性発話 ✅ 正しい。小脳障害による失調性構音障害の最も特徴的な症状です。スキャニングスピーチとも呼ばれ、各音節が等時間間隔で区切られて聞こえ、ぎこちなく「と‐う‐き‐ょ‐う」のように発話されます。小脳性運動失調の古典的兆候です。 4. 音韻性錯語 ❌ 誤り。音韻性錯語は失語症(特にBroca失語・伝導失語)の症状であり、左半球言語中枢の損傷で見られます。小脳障害による障害ではありません。 5. 痙攣性発声障害 ❌ 誤り。痙攣性発声障害(痙攣性ジストニア)は錐体外路系の障害で、声帯筋の過度な緊張により生じます。小脳障害では見られない症状です。 --- 【試験対策ポイント】 失調性構音障害(小脳障害)の特徴と他との区別 | 障害部位 | 構音障害のタイプ | 代表的症状 | |---|---|---| | 小脳 | 失調性 | 断綴性発話、スキャンディング音声 | | 両側錐体路 | 痙性 | 努力性嗄声、スピーチ・エンボリュー | | 下位運動ニューロン | 弛緩性 | 開鼻声、気息性嗄声、声量低下 | | 錐体外路 | 運動低下性 | 加速現象、単調、再帰性発話 | | 小脳+弛緩 等 | 混合性 | 複数の症状の併存(ALS等) | 小脳の6つの古典的兆候(重要): ・ 断綴性発話(構音の問題) ・ 意図振戦(目的地に向かうほど震える) ・ 共失調(複数関節の協調障害) ・ 眼振(特に注視眼振) ・ 反跳反射障害 ・ 筋トーヌス低下 小脳障害 vs 失語症の区別: ・ 失語症:言語記号の理解・表出障害(音声自体は正常) ・ 小脳構音障害:言語機能は正常だが音声の調整不可(音の出し方が悪い)
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