第20回 言語聴覚士国家試験 第114問
神経系第20回
顔面神経麻痺の症状でないのはどれか。
- 1.眉毛下垂
- 2.閉瞼不全
- 3.口角下垂
- 4.味覚低下
- 5.痛覚低下 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 痛覚低下
顔面神経(CN VII)は運動線維として表情筋を支配し、副交感線維として涙腺・唾液腺の分泌を支配します。また特殊内臓感覚線維として舌前2/3の味覚を担当しますが、痛覚(触覚・温度覚を含む)は三叉神経(CN V)が主に支配するため、顔面神経麻痺では痛覚低下は生じません。
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【各選択肢の解説】
1. 眉毛下垂
✅ 正しい。顔面神経の運動枝が前頭筋を支配しており、麻痺側では眉毛の挙上ができず下垂します。これはベル麻痺の古典的徴候です。
2. 閉瞼不全
✅ 正しい。麻痺側の眼輪匝筋が麻痺し、眼を完全に閉じられなくなります。これは顔面神経麻痺の最も危険な症状(角膜炎・潰瘍のリスク)で、眼保護が重要な治療課題です。
3. 口角下垂
✅ 正しい。麻痺側の口輪匝筋および口周囲の表情筋が機能喪失し、口角が下垂・変形します。笑顔が非対称になるのはこのためです。
4. 味覚低下
✅ 正しい。顔面神経は特殊内臓感覚線維として舌前2/3の味覚を支配する鼓索神経を含むため、麻痺側の前2/3で味覚低下が生じます。ただし鼻咽腔の感覚は舌咽神経が関与するため完全な喪失ではありません。
5. 痛覚低下
❌ 誤り。痛覚・触覚・温度覚は三叉神経(CN V)が顔面の大部分を支配します。顔面神経麻痺では痛覚は保持されるため、痛覚低下は症状として出現しません。
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【試験対策ポイント】
顔面神経(CN VII)の機能と支配範囲
| 機能 | 支配構造 | 麻痺時の症状 |
|---|---|---|
| 運動(体性) | 表情筋・アブミ骨筋 | 眉毛下垂・閉瞼不全・口角下垂・耳介後部痛 |
| 副交感線維 | 涙腺・顎下腺・舌下腺 | 涙液分泌低下・口腔乾燥 |
| 特殊感覚 | 舌前2/3味覚(鼓索神経) | 味覚低下 |
| **感覚(三叉神経) | 顔面の痛覚・触覚・温度覚 | **保持される**(麻痺せず) |
顔面神経と三叉神経の違い:出題の工夫
・顔面神経:運動中心+味覚+分泌
・三叉神経:感覚中心(痛覚・触覚・温度覚)+咀嚼筋運動
痛覚が残存することは「神経障害の程度判定」にも重要(完全な末梢性顔面神経麻痺でも痛覚は正常)。