第20回 言語聴覚士国家試験 第115問
形成外科学第20回
口蓋裂の鼻咽腔閉鎖不全に対する術式はどれか。
a.四角弁法
b.咽頭弁形成術
c.ファーロー(Furlow)法
d.ミラード(Millard)法
e.マリケン(Mulliken)法
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b, c
口蓋裂の術後に生じる鼻咽腔閉鎖不全(以下「VPI」)に対する再手術では、軟口蓋機能を改善させる術式が適用されます。咽頭弁形成術(b)と二重反転法(ファーロー法、c)が標準的な治療選択肢です。これらは軟口蓋の不十分な動きを補うか、あるいは軟口蓋の厚さと張力を改善することで、鼻咽腔を効果的に閉鎖します。
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【各選択肢の解説】
a. 四角弁法
❌ 誤り。四角弁法は口蓋裂の初回手術における口蓋粘膜閉鎖に用いられる基本的な術式であり、鼻咽腔閉鎖不全の改善を目的とした再手術ではありません。初回口蓋裂修復後のVPI治療には適応されません。
b. 咽頭弁形成術
✅ 正しい。VPI患者に対する代表的な再手術です。咽頭後壁から弁を採取して軟口蓋側に吻合し、鼻咽腔への間隙を直接埋める方法です。特に軟口蓋の動きが極度に悪い場合や、他の術式が無効な場合に選択されます。
c. ファーロー(Furlow)法
✅ 正しい。Z形成術の原理を応用した二重反転法で、軟口蓋の厚さを増加させ、張力を改善してVPIを治療します。初回口蓋裂手術時にも、また再手術(VPI対策)としても用いられ、最も広く普及している術式の一つです。
d. ミラード(Millard)法
❌ 誤り。ミラード法は唇裂修復の基本的な術式(根治的解剖学的復位法)であり、VPIの治療を目的とした術式ではありません。唇裂初回手術に適用されます。
e. マリケン(Mulliken)法
❌ 誤り。マリケン分類は唇顎口蓋裂の解剖学的分類法であり、治療術式ではありません。また、VPI治療とは無関係です。分類と術式の混同が試験での落とし穴です。
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【試験対策ポイント】
口蓋裂治療の術式分類:
| 対象病態 | 主要術式 | 特徴 |
|---|---|---|
| 初回口蓋粘膜閉鎖 | 四角弁法 | 基本手術 |
| 初回口蓋裂修復 | ファーロー法など | 軟口蓋機能を意識した術式 |
| VPI(術後鼻咽腔閉鎖不全) | 咽頭弁形成術・ファーロー法再施行 | 再手術 |
| 唇裂修復 | ミラード法 | 根治的解剖学的復位 |
重要な否定知識:
- ミラード法=唇裂術式(VPI無関係)
- マリケン=分類法(術式ではない)
- 四角弁法=初回手術の基本(VPI対策術式ではない)
キーワード:
- VPI=鼻咽腔閉鎖不全(Velopharyngeal Insufficiency)
- 咽頭弁形成術=欠損部を直接埋める
- ファーロー法=軟口蓋の厚さ・張力を改善