第20回 言語聴覚士国家試験 第137問
音声学第20回
共通語(東京方言)で、下線部が音韻論的に鼻音で発案される(鼻濁音)のはどれか。
- 1.まどがらす(窓硝子)
- 2.ぎりぎり
- 3.にゅうどうぐも(入道雲) ✓
- 4.げんごがく(言語学)
- 5.にじゅうご(二十五)
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — にゅうどうぐも(入道雲)
鼻濁音は、/g/が撥音便「ん」の後、または「ん」で終わる語の直後に現れるとき、軟口蓋鼻音[ŋ]に変化する現象です。共通語では「ん」の直後の/g/が鼻濁音になるのが基本ルールです。3番の「にゅうどうぐも」は「道(どう)」で「ん」で終わり、直後に「ぐ」が続くため、この/g/が鼻濁音[ŋ]で発音されます。
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【各選択肢の解説】
1. まどがらす(窓硝子)
❌ 誤り。「ど」で終わる「窓」の後に「が」が続きますが、「ど」は撥音便で「ん」に変わるわけではなく、通常の音です。下線部「が」は通常の軟口蓋閉鎖音[g]で発音され、鼻濁音にはなりません。
2. ぎりぎり
❌ 誤り。この語は「ん」で終わる要素がなく、単純に反復形です。「ぎ」は常に通常の軟口蓋閉鎖音[g]で発音され、鼻濁音の条件を満たしません。
3. にゅうどうぐも(入道雲)
✅ 正しい。「道(どう)」は音便化して「どう」→「どん」のように「ん」で終わります(実際には[dɔː]→[dõ])。この「ん」の直後に「ぐ」の/g/が続くため、/g/が軟口蓋鼻音[ŋ]に変化して、[ŋ]で鼻濁音として発音されます。これが共通語における鼻濁音発生の典型的環境です。
4. げんごがく(言語学)
❌ 誤り。「言語(げんご)」の「ご」は確かに「ん」で終わりますが、その直後に「が」が続きます。ただし本来の読み「げんごがく」では、「ん」の後の「が」は文字上では鼻濁音になる可能性がありますが、実際には「言語学」は造語的複合語であり、通常の分かち書きや発音では「ん」と「が」が明確に分離して発音される傾向があります。また、この問題では下線部が明示されていないため、3番の「どう」→「ん」という明確な音韻変化による鼻濁音よりも条件が劣ります。
5. にじゅうご(二十五)
❌ 誤り。「二十(にじゅう)」は「うー」で終わり、「ん」で終わるわけではありません。通常の発音では「にじゅう」と「ご」の間に明確な分離があり、「ご」の/g/は通常の軟口蓋閉鎖音として発音されるため、鼻濁音にはなりません。
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【試験対策ポイント】
鼻濁音の発生条件(共通語)
| 環境 | 例 | 鼻濁音化 |
|---|---|---|
| 「ん」で終わる語 → 直後に/g/ | 入道雲(どう→どん + ぐ) | ✅ [ŋ]化 |
| 通常の音の直後に/g/ | 窓ガラス(ど + が) | ❌ 化しない |
| 複合語で語義が明確に分かれる場合 | 言語学 | 場合による |
| 反復表現での/g/ | ぎりぎり | ❌ 化しない |
重要概念:
- 鼻濁音 = 撥音便「ん」で終わる→直後の/g/が軟口蓋鼻音[ŋ]に