第20回 言語聴覚士国家試験 第143問
言語学第20回
語彙的複合動詞はどれか。
- 1.飛び上がる ✓
- 2.食べ残す
- 3.歌い終える
- 4.歩き続ける
- 5.話し始める
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 飛び上がる
語彙的複合動詞は、前後の動詞が意味的に融合して新しい単一の意味を生み出すもので、「飛び上がる」(飛ぶ+上がる→跳ぶ動作)はこれに該当します。一方、その他の選択肢は統語的複合動詞で、前動詞に後動詞が接尾辞的に機能し、アスペクト(時間的性質)を付加するものです。
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【各選択肢の解説】
1. 飛び上がる
✅ 正しい。「飛ぶ」と「上がる」が融合して、新しい単一の概念「急速に跳び上がる動作」を表現します。意味的統合が強く、分解が困難(「飛ぶ」だけ、「上がる」だけでは同じ意味を持たない)。
2. 食べ残す
❌ 誤り。統語的複合動詞です。「食べる」が主動詞で、「残す」は「まだ食べられるものが存在する」というアスペクト(完遂されない状態)を付加します。意味は容易に分解可能。
3. 歌い終える
❌ 誤り。統語的複合動詞です。「歌う」が主動詞で、「終える」は「動作が完了した」というアスペクト(完遂)を付加します。後動詞が文法的機能を担う典型例。
4. 歩き続ける
❌ 誤り。統語的複合動詞です。「歩く」が主動詞で、「続ける」は「継続性」というアスペクトを付加します。「歩く」の意味そのものは変わらず、時間的性質のみが修飾される。
5. 話し始める
❌ 誤り。統語的複合動詞です。「話す」が主動詞で、「始める」は「動作の開始」というアスペクル(起始)を付加します。典型的な接尾辞的複合動詞。
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【試験対策ポイント】
複合動詞の分類(重要な区別)
| 分類 | 特徴 | 意味の融合度 | 例 |
|---|---|---|---|
| 語彙的複合動詞 | 前後の動詞が深く融合し新しい概念を生成 | 高い | 飛び上がる、飲み干す、叩き潰す |
| 統語的複合動詞 | 前動詞に後動詞がアスペクトを付加 | 低い | 食べ残す、歌い終える、歩き続ける |
判定ポイント
- 前後の動詞を分離できるか:分離困難=語彙的
- 後動詞が「時間的修飾」を担当しているか:担当=統語的
- 新しい単一概念の生成:あり=語彙的、なし=統語的
注意:「飲み干す」「叩き潰す」「切り倒す」なども語彙的複合動詞の代表例