第20回 言語聴覚士国家試験 第144問
言語学第20回
「今日の晩御飯は鍋だ。」のように換喩が用いられてるのはどれか。
- 1.1時間目の授業は数学だ。
- 2.うちの犬はブルドッグだ。
- 3.電話の相手は母だ。
- 4.この茶わんは有田だ。 ✓
- 5.このぶどうは長野産だ。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — この茶わんは有田だ。
換喩とは、「ある事物を、それと密接な関連を持つ別の事物の名前で表現する」修辞技法です。設問の「今日の晩御飯は鍋だ」は、調理器具の「鍋」という「モノ」で、その中身の「食事」という「内容」を指しています。4番「この茶わんは有田だ」は、産地名「有田」で「有田焼という陶磁器製品」を指しており、同じく「モノ(製品)」を「産地」で表現する換喩です。
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【各選択肢の解説】
1. 1時間目の授業は数学だ。
❌ 誤り。これは「時間枠」に「教科名」を当てはめているだけで、換喩ではなく単なる同格表現(述べ主語の説明)です。事物Aを別の事物Bの名称で代用する関連性がありません。
2. うちの犬はブルドッグだ。
❌ 誤り。これは「個体」を「品種」で表現する分類的な言及であり、換喩ではなく「種指示」です。換喩は関連性のある別事物との置き換えですが、ここでは犬そのものが「ブルドッグという犬種」を満たしているだけです。
3. 電話の相手は母だ。
❌ 誤り。これは「電話を通じた相手」を「母親」と直接指しており、メトニミー的な関連性ではなく、単に「相手の身元を示す」説明文です。一見換喩に見えやすいですが、人物を人物で指すため換喩ではありません。
4. この茶わんは有田だ。
✅ 正しい。設問例「晩御飯は鍋だ」と同じ構造です。調理器具「鍋」が食事内容を指すように、陶磁器産地「有田」が「有田焼という製品」を指しています。「産地名」という関連事物で「製品そのもの」を表現する典型的な換喩です。
5. このぶどうは長野産だ。
❌ 誤り。これは「ぶどうの産地を述べている」だけで、産地名で製品を代用していません。「長野産」は修飾語的に機能しており、製品と産地の置き換え関係(換喩)ではなく、属性記述です。
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【試験対策ポイント】
換喩(メトニミー)の判定フローチャート
- 設問の例「晩御飯は鍋だ」の構造を基準に判定
→ 「モノ(調理器具)」で「内容(食事)」を指す = 換喩
→ 「産地」で「製品」を指す場合も同じ類型
換喩と紛らわしい概念の区別
| 修辞法 | 構造 | 例 |
|---|---|---|
| 換喩 | 関連事物A → 関連事物Bで代用 | 鍋(器)→食事(内容)、有田→有田焼 |
| 隠喩 | 事物A → 無関連事物Bに例える | 「人生は航海」 |
| 提喩 | 部分↔全体 | 「1000人の頭」→1000人 |
| 同格表現 | 事物を説明・分類 | 「犬はブルドッグ」は種指示 |
| 属性記述 | 事物に属性を付与 | 「このぶどうは長野産」は産地表記 |
キーワード:「密接な関連のある事物への置き換え」「モノ←→内容」「産地←→製品」