第20回 言語聴覚士国家試験 第145問
言語発達学第20回
Vygotsky,L.S.の説として適切なのはどれか。
- 1.外言と内言はほぼ同時期に出現し相互に影響しあう。
- 2.内言と外言は独立しそれぞれ別の系として発達する。
- 3.内言が社会化されて完成された外言に移行する。
- 4.外言が内言に移行する過渡期に独語が出現する。 ✓
- 5.内言と外言は非言語的コミュニケーションを基礎に獲得される。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 外言が内言に移行する過渡期に独語が出現する。
Vygotsky(ヴィゴツキー)は、言語発達を「外言→独語→内言」という発達経路として説明しました。外言から内言への移行過程で、子どもが自分自身に話しかける独語(自己中心言語)が出現することが、彼の理論の最大の特徴です。この独語は単なる未熟な発話ではなく、認知発達における重要な段階を示す現象として位置づけられています。
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【各選択肢の解説】
1. 外言と内言はほぼ同時期に出現し相互に影響しあう。
❌ 誤り。Vygotskyの理論では、外言と内言は同時期ではなく「段階的な発達経路」を示すと考えられています。外言が先に出現し、その後段階を経て内言へと発達するという一方向的な転換プロセスが強調されています。
2. 内言と外言は独立しそれぞれ別の系として発達する。
❌ 誤り。これはPiaget(ピアジェ)の自己中心言語論に近い考え方ですが、Vygotskyはむしろ「両者は統一的に発達する」という統一言語説を主張しており、外言から内言への移行を強調する点で異なります。
3. 内言が社会化されて完成された外言に移行する。
❌ 誤り。Vygotskyの発達方向は逆です。外的・社会的な言語(外言)から始まり、段階的に内面化されて内言となります。「内言→外言」という方向性は理論に矛盾しています。
4. 外言が内言に移行する過渡期に独語が出現する。
✅ 正しい。これはVygotsky理論の核心です。独語(egocentric speech)は外言から内言への内面化プロセスにおける重要な過渡的段階であり、子どもが自分の行動を自分の言葉で調整しようとする現象として理解されます。
5. 内言と外言は非言語的コミュニケーションを基礎に獲得される。
❌ 誤り。Vygotskyは言語発達を「社会的相互作用(特に大人との相互作用)」を基礎としており、非言語的コミュニケーションを強調していません。言語的相互作用の内面化が発達の中心です。
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【試験対策ポイント】
言語発達理論の比較表
| 理論家 | 発達の方向性 | 独語の位置づけ | 社会的相互作用 |
|---|---|---|---|
| Vygotsky | 外言→独語→内言 | 過渡的で重要な段階 | 発達の基礎 |
| Piaget | 外言→自己中心言語→社会化言語 | 未熟・消滅すべき段階 | 段階的に重要性増 |
Vygotsky理論の3段階
1. 外言(social speech):大人や他者との対話的な言語
2. 独語(egocentric speech):自分自身に向かう自己調整的言語。「私に見える」など独り言。認知発達の証
3. 内言(inner speech):内面化された、静かな思考の言語。象徴的・圧縮的
頻出ポイント
- 「独語は未熟な言語」ではなく「認知発達の重要な過渡期を示す現象」
- Piaget vs Vygotsky:独語の評価が根本的に異なる(消滅 vs 内面化)
- 社会的相互作用がVygotsky理論の出発点(ZPD:最近接発達領域)