第20回 言語聴覚士国家試験 第200問
補聴器・人工内耳第20回
人工内耳について誤っているのはどれか。
- 1.電極で直接、聴神経を刺激する。
- 2.装用閾値は残存聴力に依存する。 ✓
- 3.入力音声は体外部でコード化される。
- 4.述語にリハビリテーションを必要とする。
- 5.装用下の語音明瞭度は0~100%と個人差がある。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 装用閾値は残存聴力に依存する。
人工内耳の装用閾値(刺激を感知する最小電流レベル)は、残存聴力ではなく、電極の位置、インピーダンス、神経線維の状態など物理的・電気的因子に依存します。一方、残存聴力がある場合は、補聴器との組み合わせ(ハイブリッド聴覚補償)に関わることはありますが、装用閾値そのものの決定因子ではありません。
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【各選択肢の解説】
1. 電極で直接、聴神経を刺激する。
✅ 正しい。人工内耳の基本原理は、蝸牛内に挿入した電極アレイから聴神経(蝸牛神経)へ直接電気刺激を与えることです。
2. 装用閾値は残存聴力に依存する。
❌ 誤り。装用閾値(threshold level)は、患者が音を知覚する最小電流強度であり、残存聴力ではなく、電極配置、組織インピーダンス、神経線維の電気応答性に依存します。残存聴力は補聴器の効果判定には関わりますが、人工内耳の閾値設定には直接的な影響を与えません。
3. 入力音声は体外部でコード化される。
✅ 正しい。音声プロセッサ(体外部)が音響信号を電気信号に変換(コード化)し、無線で体内の受信機・刺激電極へ送信します。
4. 述語にリハビリテーションを必要とする。
✅ 正しい。人工内耳装用後は、聴覚リハビリテーション(特に初期段階と成人では言語療法)が必須です。特に言語獲得時期を過ぎた成人や先天ろう児は適応訓練に時間を要します。
5. 装用下の語音明瞭度は0~100%と個人差がある。
✅ 正しい。人工内耳装用者の語音明瞭度は、年齢、装用期間、聴力損失の原因、リハビリ実施度、残存聴力の有無によって大きく異なり、0%(理解困難)から100%(正常に近い)の広い範囲を示します。
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【試験対策ポイント】
人工内耳の閾値と補聴器の違い:
| 項目 | 人工内耳 | 補聴器 |
|---|---|---|
| 刺激対象 | 聴神経(電気的直接刺激) | 有毛細胞(音響刺激) |
| 閾値決定因子 | 電極位置・インピーダンス・神経特性 | 残存聴力・周波数特性 |
| 装用の前提 | 聴神経機能が必須 | 有毛細胞機能が必須 |
| リハビリ | 必須(特に初期段階) | 必要に応じて |
人工内耳の各部構成と役割:
体外部(患者が管理)→体内部(埋め込み)の流れ
・マイク:音声収集
・音声プロセッサ:コード化(フォルマント抽出やチャネル選択など複数方式あり)
・送信コイル:無線送信
・受信機:信号受信
・電極アレイ:聴神経刺激
頻出ポイント:
・「装用閾値」は物理的電気的パラメータ依存(残存聴力ではない)
・「言語習得期の装用」と「成人装用」で予後が大きく異なる
・「ハイブリッド聴覚補償」は低音に残存聴力がある場合の選択肢