第20回 言語聴覚士国家試験 第37問
音声学第20回
第20回 言語聴覚士国家試験 第37問(音声学)の正答は 3 です。日本語の撥音/ɴ/は、後続音の調音位置に同化してさまざまな異音で現れる。
問題
日本語(共通語)の音素/ɴ/の異音として出現しないのはどれか。
- 1.[m]
- 2.[n]
- 3.[ɾ」 ✓
- 4.[ɴ]
- 5.[ƞ]
正答:3番
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解説
■ 正答:3番 — [ɾ]
日本語の撥音/ɴ/は、後続音の調音位置に同化してさまざまな異音で現れる。両唇音の前では[m]、歯茎音の前では[n]、軟口蓋音の前では[ŋ]、語末などでは口蓋垂鼻音[ɴ]や鼻母音になる。はじき音[ɾ]はラ行子音の異音であり、撥音の異音としては現れない。
【各選択肢の解説】
1. [m]
❌ 出現する。「散歩(さんぽ)」のように両唇音が続くとき、撥音は両唇鼻音[m]として実現する。調音位置の同化による異音である。
❌ 出現する。「散歩(さんぽ)」のように両唇音が続くとき、撥音は両唇鼻音[m]として実現する。調音位置の同化による異音である。
2. [n]
❌ 出現する。「antena/さんた」のように歯茎音が続くとき、撥音は歯茎鼻音[n]になる。後続子音への同化の典型例である。
❌ 出現する。「antena/さんた」のように歯茎音が続くとき、撥音は歯茎鼻音[n]になる。後続子音への同化の典型例である。
3. [ɾ]
✅ 出現しない(=正答)。[ɾ]は歯茎はじき音でラ行子音の音声実現であり、鼻音ではない。撥音/ɴ/の異音には含まれない。
✅ 出現しない(=正答)。[ɾ]は歯茎はじき音でラ行子音の音声実現であり、鼻音ではない。撥音/ɴ/の異音には含まれない。
4. [ɴ]
❌ 出現する。語末や母音・半母音の前で、撥音は口蓋垂鼻音[ɴ]として現れる。「パン」の末尾などが該当する。
❌ 出現する。語末や母音・半母音の前で、撥音は口蓋垂鼻音[ɴ]として現れる。「パン」の末尾などが該当する。
5. [ŋ]
❌ 出現する。「りんご」のように軟口蓋音が続くとき、撥音は軟口蓋鼻音[ŋ]になる。後続音への調音位置同化による異音である。
❌ 出現する。「りんご」のように軟口蓋音が続くとき、撥音は軟口蓋鼻音[ŋ]になる。後続音への調音位置同化による異音である。
【試験対策ポイント】
撥音/ɴ/の異音は後続音の調音位置で決まる。
| 後続音 | 異音 | 例 |
|---|---|---|
| 両唇音 | [m] | さんぽ |
| 歯茎音 | [n] | さんた |
| 軟口蓋音 | [ŋ] | りんご |
| 語末・母音前 | [ɴ]・鼻母音 | パン |
ポイントは撥音の異音はすべて鼻音(または鼻母音)である点である。はじき音[ɾ]は鼻音でもラ行の音なので、撥音の異音にならないと判断できる。
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