STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第20回 言語聴覚士国家試験 第43問

言語学第20回
音声言語の能記(シニフィアン)について誤っているのはどれか。 a.空間的構造を持つ。 b.線条性を持っている。 c.記号表現のことである。 d.所記(シニフィエ)との関係は基本的に恣意的である。 e.言語普遍的である。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — a,e 能記(シニフィアン)は音声言語において「記号の形式」(音の配列)を指します。能記の特性として「線条性」「恣意性」「記号表現」は正しいですが、「空間的構造」と「言語普遍性」は誤りです。音声言語の能記は時間的に順序立てて現れるため空間的ではなく、また言語ごとに異なる音体系を持つため普遍的ではありません。 --- 【各選択肢の解説】 a. 空間的構造を持つ。 ❌ 誤り。音声言語の能記は時間的に連続して現れます。「私」という語は「わ」「た」「し」が時系列で順序立てて発生するため、空間的ではなく時間的構造です。一方、文字言語の能記(綴字)は左右に並ぶため空間的構造を持ちます。ここでの出題は「音声言語」に限定されているため、時間的構造が正確です。 b. 線条性を持っている。 ✅ 正しい。線条性(線状性)とは、音声言語の能記が「時間的に一列に並ぶ」性質を指します。複数の音が同時並行ではなく、一つの軸上で順序を持って現れるため、これはソシュール言語学の基本的な特性として重要です。 c. 記号表現のことである。 ✅ 正しい。能記(シニフィアン)はそもそも「記号の形式」を意味し、所記(シニフィエ=概念)に対する表現面です。音声言語では「音」そのものが記号表現として機能します。 d. 所記(シニフィエ)との関係は基本的に恣意的である。 ✅ 正しい。「犬」という音の配列と「犬という動物」の概念との間に本質的な結びつきはなく、言語社会の慣習によって結びついています。これはソシュールが提唱した「恣意性の原理」の最大の特徴です。 e. 言語普遍的である。 ❌ 誤り。能記は言語ごとに異なります。同じ犬でも、日本語「いぬ」「わんわん」、英語「dog」、中国語「犬(quǎn)」など、言語によって全く異なる音形式を持ちます。普遍的なのは「音声言語は能記と所記の結合で成り立つ」という構造であって、能記の具体的形態ではありません。 --- 【試験対策ポイント】 | 概念 | 定義 | 特性 | |---|---|---| | 能記(シニフィアン) | 記号の形式(音の配列) | 線条性・恣意性・言語固有 | | 所記(シニフィエ) | 記号の内容(概念) | 言語社会的 | 音声言語 vs 文字言語の能記の構造 - 音声言語:時間的構造(線条性) - 文字言語:空間的構造(左右に並ぶ) 誤りやすいポイント:「言語普遍的」との混同 - 言語普遍的 ❌ 能記(言語ごとに異なる) - 言語普遍的 ✅ 「記号の二分性」という構造原理(すべての言語に共通) 恣意性の確認方法 - 同一概念が言語によって異なる能記を持つ→恣意的な関係
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