第20回 言語聴覚士国家試験 第74問
言語発達障害学第20回
特異的言語発達障害児に対する文法指導において誤っているのはどれか。
- 1.正しい構造の文を繰り返し言わせる。 ✓
- 2.相互作用の中で目標の文構造を用いる機会を設ける。
- 3.単語の意味役割を視覚的に示す。
- 4.指導目標の文構造の例を聞かせる。
- 5.子供の不完全な発話を意味を変えずに修正して聞かせる。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 正しい構造の文を繰り返し言わせる。
特異的言語発達障害児の文法指導は、単純な「繰り返し練習」では効果が限定的です。むしろ「自然な相互作用」「文法構造の意味的理解」「拡張(expansion)」といった文脈に基づくアプローチが重要とされています。1番の反復暗唱法は、形式的で機械的な学習になりやすく、実際の言語使用場面への般化が困難です。
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【各選択肢の解説】
1. 正しい構造の文を繰り返し言わせる。
❌ 誤り。反復練習中心のアプローチは、文法構造の「なぜそうなるのか」という意味的基盤を構築しません。特異的言語発達障害児は機械的な暗唱では文法規則を内在化しにくいため、実際の表現場面での活用が進みません。
2. 相互作用の中で目標の文構造を用いる機会を設ける。
✅ 正しい。文法指導の証拠に基づくアプローチ(コンテクスト中心の介入)です。子どもが自然な会話・遊びの中で目標文法を使う必然性が生まれると、学習効果が高まります。
3. 単語の意味役割を視覚的に示す。
✅ 正しい。助詞や時制など抽象的な文法概念を理解するため、「誰が」「何を」「いつ」といった意味役割を図・写真・ジェスチャーで視覚化すると、特異的言語発達障害児の理解が進みます。
4. 指導目標の文構造の例を聞かせる。
✅ 正しい。モデリング(良い例の提示)は言語習得の基本です。子どもが目標文法を耳で聞き、その使用パターンをインプットすることで、後の表出につながります。
5. 子供の不完全な発話を意味を変えずに修正して聞かせる。
✅ 正しい。拡張(expansion)と呼ばれる手法です。子どもが「ママ、公園いった」と言ったら、大人が「お母さん、公園に行ったのね」と文法的に正しい形で即座に聞かせることで、文法形式の学習機会が生まれます。
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【試験対策ポイント】
特異的言語発達障害児への文法指導の「科学的根拠あり」と「根拠なし」
| アプローチ | 有効性 | 理由 |
|---|---|---|
| **反復暗唱・形式練習** | ❌ 低い | 意味的文脈がなく、般化が困難 |
| **相互作用・遊びの中での活用** | ✅ 高い | 機能性がある、実用的な文法獲得 |
| **視覚的支援(意味役割の図示)** | ✅ 高い | 抽象概念の具体化、理解促進 |
| **モデリング(例文提示)** | ✅ 高い | インプットの増加、自然な習得 |
| **拡張(expansion)** | ✅ 高い | 即座のフィードバック、文法構造の修正 |
キーワード:「文脈中心」「相互作用」「意味の基盤」「機械的練習の回避」