第21回 言語聴覚士国家試験 第110問
リハ医学第21回
頚髄損傷完全四肢麻痺(第7頚髄節まで機能残存)のリハビリテーションを行っている患者。自立をゴールに設定することが適切でない動作はどれか。
- 1.仰臥位から長座位への起き上がり
- 2.車いすからベッドへの移乗
- 3.長下肢装具装着下での松葉杖歩行 ✓
- 4.平地での普通型車いす駆動
- 5.ベッド上での下衣更衣
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 長下肢装具装着下での松葉杖歩行
C7機能残存の四肢麻痺では、上肢の機能がC7レベル相当に限定されています。松葉杖歩行には両上肢で体重の大部分を支持する必要があり、さらに長下肢装具を装着しての歩行は、これまで以上に握力・肩の安定性・体幹バランスを要求されます。C7機能残存では手指の外転筋が十分に機能せず、松葉杖の確実な把握が困難であり、転倒のリスクが高く、自立達成が現実的ではありません。
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【各選択肢の解説】
1. 仰臥位から長座位への起き上がり
✅ 正しい。C7機能残存であれば上腕二頭筋・三角筋・大胸筋が十分に機能するため、両上肢で体を支持しながら起き上がることは可能です。体幹の安定性向上訓練により自立達成は現実的です。
2. 車いすからベッドへの移乗
✅ 正しい。C7では両上肢の支持性が確保でき、接近角度や高さの調整により移乗動作は自立可能です。むしろ移乗能力はADL自立の重要な要素です。
3. 長下肢装具装着下での松葉杖歩行
❌ 誤り。C7機能残存では手指の外転筋群が完全には機能せず、松葉杖の確実な把握が困難です。また長下肢装具の重量と相まって、両上肢での支持性と握力が要求以上に必要となり、転倒リスクが極めて高いため自立は非現実的です。
4. 平地での普通型車いす駆動
✅ 正しい。C7機能残存であれば肩関節と肘関節の制御が十分であり、平地での車いス駆動は自立可能です。実際のリハの主要ゴールとなります。
5. ベッド上での下衣更衣
✅ 正しい。仰臥位でのズボンやパンツの着脱は、足関節の可動性とC7レベルの上肢機能があれば可能です。体幹の側方支持により自立達成は十分現実的です。
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【試験対策ポイント】
脊髄損傷の機能レベル別ADL到達の目安
| 損傷レベル | 上肢機能 | 歩行 | ADL自立の可能性 |
|---|---|---|---|
| C5 | 三角筋・上腕二頭筋 | 不可能 | 部分的(移乗・操作困難) |
| C6 | +手関節伸筋 | 不可能 | 部分的(操作改善) |
| C7 | +手指伸筋・上腕三頭筋 | 装具+松葉杖は困難 | 移乗・車いす駆動は可能 |
| C8-T1 | 手指屈筋完全 | 装具+松葉杖で困難 | ほぼ完全 |
| T1-T6 | 手指完全 | 装具+松葉杖困難 | ほぼ完全 |
| T7以下 | 手指完全 | 長下肢装具で可能 | 完全自立 |
重要な否定知識
- C7では「長下肢装具+松葉杖歩行の自立」は現実的でない→転倒リスク極度に高い
- 完全四肢麻痺の歩行より「車いす移動」を重視する(エネルギー効率・安全性)
- 装具装着による歩行試行は「能力の評価」「心理的適応」の意味はあるが、自立ゴール設定は不適切
紛らわしい点
- C7は「高位の