第21回 言語聴覚士国家試験 第111問
耳鼻咽喉科学第21回
嗅覚障害について誤っているのはどれか。
- 1.好酸球性副鼻腔炎に合併して嗅覚障害が生じる。
- 2.頭部外傷によって嗅覚障害が生じる。
- 3.嗅細胞は嗅裂の粘膜上皮に存在する。
- 4.静脈性嗅覚検査では無反応の場合、嗅覚の回復が困難である。
- 5.基準嗅覚検査では濃い検査液から下降法で検査を行う。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 基準嗅覚検査では濃い検査液から下降法で検査を行う
基準嗅覚検査(日本式標準嗅覚検査)は、逆に「薄い検査液から上昇法で検査を行う」のが正しい方法です。薄い濃度から始めて段階的に濃度を上げていき、患者が初めて臭いを感知する段階を判定します。
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【各選択肢の解説】
1. 好酸球性副鼻腔炎に合併して嗅覚障害が生じる
✅ 正しい。好酸球性副鼻腔炎は慢性的な炎症により鼻腔構造が変化し、嗅上皮への気流障害または嗅上皮の萎縮・変性を起こすため、嗅覚障害が合併することは周知の事実です。
2. 頭部外傷によって嗅覚障害が生じる
✅ 正しい。頭部外傷は嗅神経の損傷・断裂、あるいは脳脊髄液漏によって嗅覚が障害されます。嗅神経は頭蓋底を通過するため、外傷の好発損傷部位です。
3. 嗅細胞は嗅裂の粘膜上皮に存在する
✅ 正しい。嗅細胞(嗅覚受容体を持つ双極神経細胞)は嗅上皮に存在し、嗅上皮は主として嗅裂(鼻腔内で臭気分子が到達する狭い空間)に分布しています。
4. 静脈性嗅覚検査では無反応の場合、嗅覚の回復が困難である
✅ 正しい。静脈性嗅覚検査(アロマテスト)で反応がないということは、嗅神経中枢経路の機能がほぼ消失した状態を示唆し、回復の見込みが低いとされています。
5. 基準嗅覚検査では濃い検査液から下降法で検査を行う
❌ 誤り。基準嗅覚検査は「薄い濃度から上昇法で行う」が正しい検査方法です。下降法や濃い液から始める方法は誤りです。
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【試験対策ポイント】
| 検査項目 | 検査方法 | 特徴 |
|---|---|---|
| 基準嗅覚検査 | 薄い液から上昇法 | 日本式標準検査。段階的濃度上昇 |
| 静脈性嗅覚検査 | 静注後の臭気感知 | 嗅神経中枢機能評価。無反応=予後不良 |
| T&T式嗅覚検査 | 複数の臭い物質 | 定性的評価 |
頻出な嗅覚障害の原因:
- 伝導性障害(気流障害):副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲
- 感覚神経性障害(嗅上皮・嗅神経損傷):ウイルス感染後、頭部外傷、老化、薬物
- 中枢性障害(脳病変):脳腫瘍、脳外傷、パーキンソン病
重要な否定知識:
- 下降法ではなく「上昇法」で検査
- 濃い液からではなく「薄い液から」検査