第21回 言語聴覚士国家試験 第125問
認知心理学第21回
知覚的恒常性はどれか。
- 1.物体の見かけの大きさが大きくなると、自分の方に近づいてくるように見える。
- 2.白い物体の表面は、日中の晴天下で見ても、夕焼け空の下で見ても、白く見える。 ✓
- 3.下方向に動くものを見続けた後に静止した対象を見ると、その対象は上方向に動いて見える。
- 4.灰色の領域は、白の格子模様を重ねると白っぽく、黒の格子模様を重ねると黒っぽく見える。
- 5.物体の大きさは、小さいものに囲まれたときよりも、大きいものに囲まれた時の方が小さく見える。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 白い物体の表面は、日中の晴天下で見ても、夕焼け空の下で見ても、白く見える。
知覚的恒常性とは、照明条件・距離・周囲の環境が変わっても、物体の色・大きさ・形が一定に見える現象です。選択肢2は色の恒常性そのもの:夕焼けという暖色・低照度環境下でも、脳は照明条件を補正して物体固有の色を抽出するため、白は白として知覚されます。
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【各選択肢の解説】
1. 物体の見かけの大きさが大きくなると、自分の方に近づいてくるように見える。
❌ 誤り。これは「大きさの恒常性」の説明で、知覚的恒常性の定義としては不正確です。また「見かけの大きさが大きくなる」という前提自体が曖昧。むしろ網膜像は小さくなっても「同じ大きさに見える」のが恒常性です。
2. 白い物体の表面は、日中の晴天下で見ても、夕焼け空の下で見ても、白く見える。
✅ 正しい。これは色の恒常性の典型例。照度が高い/低い、色温度が青い/赤いなど、照明条件が異なっても、脳が環境光を自動補正して物体固有の色属性を知覚します。
3. 下方向に動くものを見続けた後に静止した対象を見ると、その対象は上方向に動いて見える。
❌ 誤り。これは「運動の対比錯覚」または「運動適応」で、恒常性ではなく「知覚的錯覚」です。恒常性は環境変化への適応的補正ですが、これは反対方向への知覚ズレです。
4. 灰色の領域は、白の格子模様を重ねると白っぽく、黒の格子模様を重ねると黒っぽく見える。
❌ 誤り。これは「同時対比(色対比)」で、周囲の色が対象物の見え方を変える現象。恒常性ではなく「対比効果」です。恒常性は環境条件が同じでも知覚が安定すること、これは周囲刺激が変わると知覚が変わることです。
5. 物体の大きさは、小さいものに囲まれたときよりも、大きいものに囲まれた時の方が小さく見える。
❌ 誤り。これは「相対的大きさの錯覚」で、周囲環境が対象の見かけの大きさを変える現象。恒常性は「実物の大きさが一定に見える」ことで、これは周囲の影響で変わる知覚です。
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【試験対策ポイント】
知覚的恒常性と知覚的錯覚・対比効果の区別
| 概念 | 定義 | 不変な要素 | 例 |
|---|---|---|---|
| **色の恒常性** | 照明条件の変化を補正して知覚 | 物体固有の色 | 白は曇りでも晴れでも白 |
| **大きさの恒常性** | 距離が変わっても大きさは一定 | 物体の実サイズ | 遠い人も近い人も身長は同じ |
| **形の恒常性** | 角度が変わっても形は認識可能 | 物体の形状 | 斜めから見たドアも長方形 |
| **同時対比** | 周囲の色/大きさが見かけを変える | なし(周囲に依存) | 灰色が白背景で濃く見える |
| **運動錯覚** | 実際の動きと反対に見える | なし(条件依存) | 瀑布錯視など |
キーワード:
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