STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第21回 言語聴覚士国家試験 第141問

聴覚心理学第21回
両耳聴効果として適切でないのはどれか。
  1. 1.加算によって音が大きく聞こえる。
  2. 2.音源の左右位置の定位が良くなる。
  3. 3.音が遅れて到達する側に音源の定位が寄る。 ✓
  4. 4.雑音下で注意したい音をききやすくなる。
  5. 5.音が強い側に音源の定位が寄る。

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — 音が遅れて到達する側に音源の定位が寄る。 両耳聴における定位の仕組みでは、音が「早く到達する側」に音源が定位します。遅れて到達する側ではなく、「早着側」が優先される(Haas効果)ため、この選択肢は誤りです。 --- 【各選択肢の解説】 1. 加算によって音が大きく聞こえる。 ✅ 正しい。同じ音が両耳から到達するため、音圧が加算され、単耳聴より約3dB大きく聞こえます。これを「両耳聴効果」と呼びます。 2. 音源の左右位置の定位が良くなる。 ✅ 正しい。両耳間の時間差(ITD:Interaural Time Difference)と音圧差(ILD:Interaural Level Difference)により、音源方向の定位精度が大幅に向上します。単耳では定位は困難です。 3. 音が遅れて到達する側に音源の定位が寄る。 ❌ 誤り。これは「Haas効果」に矛盾しています。遅れて到達する音は先行音に抑制されるため、音源は「早く到達した側」に定位します。遅延側への定位は生じません。 4. 雑音下で注意したい音をききやすくなる。 ✅ 正しい。両耳聴により雑音から信号を分離できる「スピーチシャドウ効果」が生じ、カクテルパーティー効果が実現されます。これにより、注目音が際立って聞こえます。 5. 音が強い側に音源の定位が寄る。 ✅ 正しい。両耳間の音圧差(ILD)により、より強い音が到達した側に音源の定位が傾きます。高周波では特にILDが有効な手がかりになります。 --- 【試験対策ポイント】 両耳聴における定位の重要概念 | 概念 | 説明 | 周波数依存 | |---|---|---| | ITD(時間差) | 音が早く到達した側に定位 | 低周波で有効 | | ILD(音圧差) | 音が強い側に定位 | 高周波で有効 | | Haas効果(先行音効果) | 先行音側に定位;遅延側ではない | ~35ms以内 | 両耳聴の主要な利益(正答の選択肢1・2・4・5で網羅) - 加算効果:3dB利得 - 定位精度向上:方向感覚 - スピーチシャドウ効果:選別聴取 - 両耳聴マスキングレベル差(BMLD):雑音下での音声検出向上 誤りやすいポイント 「遅れて到達する側に定位が寄る」という選択肢は、両耳聴の基本原理と逆です。必ず「早着側」に定位することを確実に記憶してください。
関連

▶ 第21回 全問一覧

▶ 聴覚心理学 の過去問一覧