第21回 言語聴覚士国家試験 第140問
音響学第21回
音声のデジタル録音について誤っているのはどれか。
- 1.アナログ・デジタル変換が必要である。
- 2.標本化周波数までの周波数成分を録音できる。 ✓
- 3.量子化ビット数が大きいほど量子化雑音は小さくなる。
- 4.録音レベルの調節が悪くて過大入力になると、音が歪む。
- 5.データを圧縮する方式としない方式とがある。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 標本化周波数までの周波数成分を録音できる。
標本化定理によると、デジタル化で保存できるのは「標本化周波数の1/2(ナイキスト周波数)までの周波数成分」です。標本化周波数そのものではなく、その半分の周波数までが上限になるため、選択肢2は誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. アナログ・デジタル変換が必要である。
✅ 正しい。音声はアナログ波形であるため、デジタル録音を行うにはA/D変換が必須のプロセスです。
2. 標本化周波数までの周波数成分を録音できる。
❌ 誤り。標本化定理(Nyquistの定理)により、実際に保存できるのは「標本化周波数の1/2までの周波数成分」です。標本化周波数そのものは保存できません。例えば48kHzで標本化した場合、24kHzまでの周波数成分が記録されます。
3. 量子化ビット数が大きいほど量子化雑音は小さくなる。
✅ 正しい。量子化ビット数が増えるとレベル解像度が向上し、丸め誤差(量子化雑音)が減少します。16ビット→24ビットへの増加により量子化雑音は低下します。
4. 録音レベルの調節が悪くて過大入力になると、音が歪む。
✅ 正しい。過大入力はデジタルクリップ(サチュレーション)を招き、波形の頂点が切り取られて音が歪みます。これはA/Dコンバータの入力飽和による必然的な現象です。
5. データを圧縮する方式としない方式とがある。
✅ 正しい。PCMは非圧縮、MP3・AACはロッシー圧縮、FLACはロスレス圧縮など、複数の方式が存在します。
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【試験対策ポイント】
標本化定理(Nyquistの定理)の正確な表現:
- 標本化周波数をfs、ナイキスト周波数をfnとすると、fn = fs/2
- 記録可能な最大周波数は「fs/2」
- fs = 48kHz → fn = 24kHz
- fs = 44.1kHz(CD)→ fn = 22.05kHz
音声デジタル化の3つの処理ステップ:
1. 標本化(Sampling):時間軸を離散化
2. 量子化(Quantization):振幅を離散化
3. 符号化(Encoding):デジタルコードに変換
量子化雑音と解像度:
- 16ビット:216 = 65,536レベル(CD規格)
- 24ビット:224 = 16,777,216レベル(プロ用音声)
- ビット数増加 → レベル解像度向上 → 量子化雑音低下
クリップとヘッドルーム:
- 過大入力 → デジタルクリップ → 回復不可能な歪み
- 適正な入力レベル設定が重要(-6~-3dBFS推奨)