第21回 言語聴覚士国家試験 第173問
言語発達障害学第21回
2語連鎖の理解ができる4歳児。1音節やワードパーシャルでの発話が浮動的に10語程度ある。10種図形の弁別が可能。優先順位の低い指導はどれか。
- 1.言語理解の拡大
- 2.身振りでの要求
- 3.2語連鎖での表出 ✓
- 4.ひらがな同士のマッチング
- 5.「ボーン」など擬音語の模倣
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 2語連鎖での表出
この児童は既に「2語連鎖の理解」ができており、表出言語は「1音節やワードパーシャルで約10語」という段階です。理解が先行している発達典型パターンですから、理解レベルに表出をキャッチアップさせることが優先です。すでに成立しかけている2語連鎖表出の指導は、より根底的な課題(理解拡大・音韻基礎・動機づけ)を固めてからでも遅くありません。
---
【各選択肢の解説】
1. 言語理解の拡大
✅ 優先度が高い。児童は2語連鎖理解にとどまっており、より複雑な文法理解(3語以上の文構造、文法形態素の理解)の拡大が必要です。理解を広げることで、その後の表出言語の基盤となります。
2. 身振りでの要求
✅ 優先度が高い。表出言語が極めて限定的(10語程度)である児童にとって、非言語コミュニケーション手段の強化は、機能的コミュニケーション能力を高め、言語使用への動機づけにもなります。
3. 2語連鎖での表出
❌ 優先度が低い。既に理解レベルで2語連鎖が成立しており、表出言語はまだワードパーシャルの段階です。理解が先行している場合、理解レベルへの表出キャッチアップよりも、より基礎的な1語表出の充実と音韻体系の確立を優先すべき時期です。
4. ひらがな同士のマッチング
✅ 優先度が高い。10種図形弁別ができる視知覚能力を活用した、文字への導入準備は4歳児にとって認知発達を促す有効な手段です。言語理解と視知覚を統合した学習は重要です。
5. 「ボーン」など擬音語の模倣
✅ 優先度が高い。音韻体系が不安定で表出語彙が少ない児童にとって、擬音語・擬態語は音韻習得と語彙拡大の足がかりになります。繰り返し性と運動的な楽しさが、発話動機づけにも有効です。
---
【試験対策ポイント】
理解と表出の乖離がある場合の優先指導順位:
| 優先段階 | 指導内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 第1優先 | 理解レベルの拡大 | 理解が表出の上限となる(理解>表出が正常) |
| 第2優先 | 非言語コミュニケーション | 動機づけとコミュニケーション機能の確保 |
| 第3優先 | 音韻基礎・1語表出充実 | 表出語彙と音韻体系の土台作り |
| 第4優先 | 理解と同じレベルの表出 | 基盤が整ったあとの自然な発展 |
本児の発達段階:
- 理解:2語連鎖
- 表出:ワードパーシャル10語
- 視知覚:10種図形弁別可能
→ 理解に表出をキャッチアップさせることは、理解がさらに拡大した後でも対応可能。むしろ現段階では音韻体系の確立と語彙の量的充実が先決。