第21回 言語聴覚士国家試験 第185問
嚥下障害第21回
嚥下障害患者に対して写真に示す姿勢を維持する訓練を行っている。この訓練が適応となる病態はどれか。【別図あり】
- 1.咀嚼障害
- 2.舌運動障害
- 3.喉頭挙上障害 ✓
- 4.鼻咽腔閉鎖不全
- 5.嚥下反射惹起不全
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 喉頭挙上障害
この訓練は頭頸部前屈姿勢(chin tuck position)を示しており、喉頭を前上方に挙上させやすくする姿勢です。喉頭挙上障害患者では、この姿勢により重力と頸部筋の作用で喉頭挙上を補助し、咽頭期の安全性を向上させます。
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【各選択肢の解説】
1. 咀嚼障害
❌ 誤り。咀嚼障害は口腔準備期の問題であり、姿勢変更では改善しません。咀嚼障害への対応は咀嚼訓練や食物形態調整です。
2. 舌運動障害
❌ 誤り。舌運動障害(舌を前方に出す・引き込むの困難)も口腔期の問題で、姿勢変更ではなく舌運動訓練が必要です。
3. 喉頭挙上障害
✅ 正しい。頭頸部前屈姿勢は咽頭期に喉頭を前上方に挙上させやすくし、気道保護を強化します。喉頭挙上が不十分な患者に直接的に有効です。
4. 鼻咽腔閉鎖不全
❌ 誤り。軟口蓋挙上不全による鼻腔への逆流に対しては、舌尖挙上訓練や口腔咽頭圧上昇訓練が必要です。姿勢変更は効果がありません。
5. 嚥下反射惹起不全
❌ 誤り。嚥下反射惹起不全(咽頭期開始遅延)に対しては、冷却刺激や味覚刺激などの感覚入力が有効です。姿勢変更では反射を誘発できません。
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【試験対策ポイント】
嚥下訓練と適応病態の対応表
| 訓練方法 | 対応する障害 | 機序 |
|---|---|---|
| 頭頸部前屈(chin tuck) | 喉頭挙上障害 | 喉頭の前上方移動を補助 |
| 舌尖挙上訓練 | 軟口蓋挙上不全 | 口腔咽頭圧を上昇させる |
| 冷却刺激 | 嚥下反射惹起不全 | 咽頭感覚を刺激して反射を誘発 |
| 舌運動訓練 | 舌運動障害 | 舌の筋力・可動域を改善 |
| 咀嚼訓練 | 咀嚼障害 | 咀嚼能力を向上 |
重要な否定知識
- 「舌尖挙上訓練」は鼻腔への逆流防止に効果なし
- 「気管切開術」は誤嚥防止に直結しない
- 姿勢変更は「咽頭期」の障害に対応(口腔期問題には無効)
嚥下相の確認
- 口腔準備期:咀嚼、舌運動 → 姿勢では改善不可
- 咽頭期:喉頭挙上、軟口蓋挙上 → 姿勢・体位が有効
- 食道期:下部食道括約筋弛緩 → 訓練では改善困難