第21回 言語聴覚士国家試験 第200問
補聴器・人工内耳第21回
両耳人工内耳の効果でないのはどれか。
- 1.良聴耳効果
- 2.蝸牛窓遮蔽効果 ✓
- 3.スケルチ効果
- 4.頭部遮蔽効果
- 5.ラウドネス加算効果
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 蝸牛窓遮蔽効果
蝸牛窓遮蔽効果は両耳補聴器(補聴器2台)を装用した場合の効果であり、人工内耳の両耳装用では起こりません。人工内耳は蝸牛内に電極を挿入して直接神経を刺激するため、蝸牛窓を通じた音響的な遮蔽現象は生じません。
---
【各選択肢の解説】
1. 良聴耳効果
✅ 正しい。両耳人工内耳装用時に、より聞こえやすい側の耳(良聴耳)の信号が優先的に処理される現象。両耳聴取の有利さを引き出す効果です。
2. 蝸牛窓遮蔽効果
❌ 誤り。これは補聴器の両耳装用時に、蝸牛窓での音響的干渉により低周波音響エネルギーが減少する現象です。人工内耳では蝸牛内への直接電気刺激のため、音響的遮蔽は発生しません。
3. スケルチ効果
✅ 正しい。両耳人工内耳装用時に、雑音下で同じ方向からの両側の信号を合成することで、雑音信号が抑制される効果。指向性があるように機能します。
4. 頭部遮蔽効果
✅ 正しい。健聴耳と難聴耳の聴力差があるとき、頭部が高周波音を遮蔽し、低周波の到達時間差が生じる現象。両耳人工内耳でも両側聴覚処理で利用される効果です。
5. ラウドネス加算効果
✅ 正しい。両耳から同時に信号を受け取ることで、単耳比較して大きく聞こえる現象。主観的なラウドネスレベルが増加します。
---
【試験対策ポイント】
両耳補聴器vs両耳人工内耳の効果比較
| 効果 | 補聴器 | 人工内耳 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 蝸牛窓遮蔽効果 | ✅ あり | ❌ なし | 音響刺激 vs 電気刺激 |
| 良聴耳効果 | ✅ あり | ✅ あり | 聴覚信号処理共通 |
| 頭部遮蔽効果 | ✅ あり | ✅ あり | 物理的遮蔽 |
| スケルチ効果 | ✅ あり | ✅ あり | 雑音下の指向性 |
| ラウドネス加算 | ✅ あり | ✅ あり | 両耳統合処理 |
蝸牛窓遮蔽効果の本質:補聴器は蝸牛窓に到達する音響エネルギー量に依存するため、両側の音が蝸牛窓で相互干渉する可能性がある。一方、人工内耳は電極で直接蝸牛内組織を刺激するため、このような音響的干渉メカニズムが完全に異なる。