第21回 言語聴覚士国家試験 第199問
補聴器・人工内耳第21回
人工内耳で正しいのはどれか。
a.音のラウドネス感は刺激する電荷量で調節する。
b.音の情報は電極で処理される。
c.蝸牛奇形に対する手術は禁忌である。
d.術後の弁別能は蝸牛のラセン神経節の障害の程度と関係しない。
e.髄膜炎後の蝸牛骨化が想定される場合は1歳未満でも手術適応となる。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — a,e
人工内耳における音響情報処理と適応基準について、電荷量による知覚制御と髄膜炎後の緊急対応が核となります。ラセン神経節の機能性が術後成績を大きく左右するのに対し、蝸牛奇形は現在では多くの場合で手術可能であり、禁忌ではありません。
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【各選択肢の解説】
a. 音のラウドネス感は刺激する電荷量で調節する。
✅ 正しい。人工内耳では、刺激電極に流す電流量(電荷量=Current Level)を増減することで知覚される音の大きさ(ラウドネス)を調節します。これはフィッティング時に各電極について最小可聴閾値(Threshold)から快適音圧レベル(Comfortable Level)までの範囲を決定する基本原理です。
b. 音の情報は電極で処理される。
❌ 誤り。音声処理は音声処理装置(音声プロセッサ)で行われ、周波数分析・符号化・フィルタリングなどの信号処理を実施します。電極は処理済みの信号を蝸牛内の神経に直接伝えるための伝達媒体であり、情報処理の場ではありません。
c. 蝸牛奇形に対する手術は禁忌である。
❌ 誤り。Mondini奇形、不完全分割奇形、総合奇形などの蝸牛奇形は、現在では人工内耳手術の禁忌ではありません。むしろ難聴の原因が蝸牛奇形である場合、適切なインプラント設計と手術計画により手術適応となります。奇形の有無より「機能的聴神経の存在」が適応判定の重要因子です。
d. 術後の弁別能は蝸牛のラセン神経節の障害の程度と関係しない。
❌ 誤り。ラセン神経節は聴覚情報を中枢に伝える第一次感覚神経元であり、その細胞数・機能性は術後の言語認識能力(弁別能)と直接相関します。ラセン神経節の障害が強いほど術後成績は不良になります。
e. 髄膜炎後の蝸牛骨化が想定される場合は1歳未満でも手術適応となる。
✅ 正しい。細菌性髄膜炎に続発する蝸牛骨化は急速に進行し、遅延すると聴神経へのインプラント留置が不可能になります。骨化の進行予防と聴覚獲得機会の確保のため、通常の言語発達リミテーション(1歳以降)の基準より早期の手術適応が正当化されます。MRI確認後の速やかな手術が推奨されます。
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【試験対策ポイント】
**人工内耳のキー概念**
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 音量制御 | 電流量(電荷量)の増減 → ラウドネス変化 |
| 周波数処理 | 音声プロセッサ内で実施 ← 電極ではない |
| 情報伝達 | 電極:処理済み信号を神経に伝えるのみ |
**術後成績に影響する因子**
**関係あり(重要)**
- ラセン神経節細胞数・機能性
- 聴覚経験年数(早期手術の効果)
- リハビリ強度
**関係ない**
- 蝸牛奇形の有無(現在は禁忌ではない)
**禁忌ではない適応拡大事例**
| 状況 | 従来 | 現在 |
|---|---|---|
| 蝸牛奇形 | 禁忌 | 適応