STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第21回 言語聴覚士国家試験 第41問

音響学第21回
東京方言の成人男性話者による発話の広帯域サウンドスペクトログラムを示す。 対応するのはどれか。【別図あり】
  1. 1.「長い影」 ✓
  2. 2.「赤い影」
  3. 3.「長い壁」
  4. 4.「赤い壁」
  5. 5.「長い崖」
第21回第41問 図

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — 「長い影」 広帯域スペクトログラムから、対象の単語を音響特性で識別する問題です。正答を判定するには、各単語の「子音特性」「母音フォルマント」「持続時間」を総合的に評価する必要があります。「長い影」は、語頭の「ナ」の鼻音特性、「ガ」の濁音帯域、「カ」の無声閉鎖音など、スペクトログラム上で対比できる特徴を持ちます。 --- 【各選択肢の解説】 1. 「長い影」 ✅ 正しい。語頭「ナ」は鼻音で、フォルマント構造が特徴的(F1低下、周期性保持)。「ガ」は濁音で声帯振動が明確に視認可能。語末「影」の「カ」は無声閉鎖音で、閉鎖区間と解放バースト(高周波エネルギー)が明瞭に表示されます。これらの音響特性の組み合わせが提示スペクトログラムと合致します。 2. 「赤い影」 ❌ 誤り。「赤い影」と「長い影」の大きな違いは語頭子音です。「赤」の「ア」は音声の開始が異なり(鼻音ではなく開口音)、スペクトログラム上で鼻音の特徴が存在しません。語頭の音響特性が異なるため除外されます。 3. 「長い壁」 ❌ 誤り。「壁」の「カ」(語末の無声閉鎖音)と「影」の「カ」は同じ子音ですが、その直前の母音が異なります。「壁」は「e(エ)」、「影」は「i(イ)」で、母音フォルマント特性が異なり、スペクトログラムの母音領域の周波数帯が識別可能です。提示図と母音領域が合致しません。 4. 「赤い壁」 ❌ 誤り。「赤」の音響特性(開口音)と「壁」の母音フォルマント(e領域)の組み合わせが、提示スペクトログラムと一致しません。語頭の鼻音特性の欠如が最大の識別ポイントです。 5. 「長い崖」 ❌ 誤り。「崖」の「ガ」と「影」の「ガ」は同じ濁音ですが、その直前の母音が異なります。「崖」は「a(ア)」、「影」は「e(エ)」で、フォルマント周波数領域が異なります。また「崖」の後続する「e」と「影」の「e」の持続時間・周波数特性が微妙に異なり、スペクトログラム上で区別されます。 --- 【試験対策ポイント】 スペクトログラム識別の基本要素 | 要素 | 特徴 | 識別ポイント | |---|---|---| | 鼻音(ナ) | F1低下、周期性保持、エネルギー低減 | スペクトログラムで明瞭な「谷」状パターン | | 濁音(ガ、ダ) | 声帯振動明瞭、低周波に周期構造 | 基本周波数(F0)の周期性が視認可能 | | 無声閉鎖音(カ、タ) | 閉鎖区間:黒い間隙、解放バースト:高周波エネルギー | 一瞬のエネルギー放出(バースト) | | 母音フォルマント | i(イ):F1低、F2高 / e(エ):F1中、F2中高 / a(ア):F1高、F2中低 | 周波数帯域で母音が判別可能 | キーワード:広帯域・狭帯域
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