STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第21回 言語聴覚士国家試験 第69問

言語発達障害学第21回
4歳半の男児。<S-S法>言語発達遅滞検査にて、2語連鎖の理解ができるが発語がない。動作性課題では積木でトンネルが作れるが丸は描けない。要求行動が少なく、自分でやってしまう。スキップが上手にできる。誤っているのはどれか。 a.言語理解は2歳相応 b.言語表現は1歳未満 c.粗大運動は年齢相応 d.動作性課題は年齢相応 e.コミュニケ―ションは良好 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — d,e 本問は4歳半児の発達スクリーニング検査結果を、各発達領域ごとに適切に評価できるかを問う問題です。設問の根拠を領域別に検討すると、d(動作性課題は年齢相応)とe(コミュニケーションは良好)の2つが明らかに誤りです。発語がなく要求行動が乏しい点は、深刻な言語・コミュニケーション障害を示唆しており、「良好」という評価は不適切です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 言語理解は2歳相応 ✅ 正しい。2語連鎖の理解ができるという所見は、標準的には2歳前後の言語理解レベルに相当します。S-S法では理解語彙の量と連鎖の理解度で発達段階を判定するため、この評価は妥当です。 b. 言語表現は1歳未満 ✅ 正しい。発語がないという事実は、言語表現が1歳未満(音声言語発出がない段階)であることを示しています。要求語や応答語などの機能的発語がない状態です。 c. 粗大運動は年齢相応 ✅ 正しい。スキップが上手にできるという所見は、4歳半児の粗大運動発達として典型的であり、年齢相応と判定して妥当です。バランス感覚と両側協調運動が必要なスキップ習得は、4歳以降の発達マイルストーンに合致します。 d. 動作性課題は年齢相応 ❌ 誤り。積木でトンネルが作れるが丸は描けないという所見は不揃いな発達を示しています。丸を描く能力は3歳で獲得されるべき基本的な巧緻動作で、4歳半でできないことは遅滞を示唆します。動作性課題全体として年齢相応とはいえません。 e. コミュニケーションは良好 ❌ 誤り。発語がなく要求行動が少なく「自分でやってしまう」という点は、相互的なコミュニケーション意欲の低さを示しています。社会的コミュニケーションの発達が良好であれば、成人や同年代との交流を求め、要求行動や共有経験を通じた関わりが活発であるべきです。本児の状態は明らかにコミュニケーション障害を示唆しており、「良好」と言うことはできません。 --- 【試験対策ポイント】 発達領域の年齢相応判定における誤った評価を見抜く際の判定基準 | 領域 | 4歳半での期待 | 本児の所見 | 評価 | |---|---|---|---| | 言語理解 | 複文理解・2語文理解 | 2語連鎖の理解可 | 2歳相応(遅滞) | | 言語表現 | 複文産出・語彙200語以上 | 発語なし | 1歳未満(著しい遅滞) | | 粗大運動 | スキップ・片足跳び・走る | スキップ上手 | 年齢相応 | | 巧緻動作 | 丸・三角・四角を描ける | 丸が描けない(トンネルは可) | 年齢相応以下(3歳程度) | | コミュニケーション | 相互的関わり・要求行動 | 要求行動少ない・自発性低い | 障害あり(良好ではない) | 頻出の誤判断パターン - 「一部の動作ができるから動作性は年齢相応」という誤評価 - コミュニケーション発達の評価に「発語の有無」のみに着目し、相互性・要求行動の有無を見落とす - 粗大運動が年齢相応
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