STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第22回 言語聴覚士国家試験 第110問

リハ医学第22回
気管切開をした筋委縮性側索硬化症患者への対応として誤っているのはどれか。
  1. 1.関節可動域訓練
  2. 2.ボツリヌス毒素治療 ✓
  3. 3.摂食機能療法
  4. 4.意思伝達装置の利用
  5. 5.家族への吸引指導

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — ボツリヌス毒素治療 ALS患者への対応として、ボツリヌス毒素治療は標準的な対応ではありません。ALSの進行性神経変性に対して、ボツリヌス毒素は根本的な治療効果を持たず、むしろ既に障害された運動機能をさらに低下させる可能性があります。一方、1・3・4・5番はすべてALS患者の生活機能維持と症状管理の重要な対応です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 関節可動域訓練 ✅ 正しい。ALSによる筋力低下・廃用に対して、拘縮予防・関節機能維持のために関節可動域訓練は不可欠です。特に気管切開後の臥床時間が増加する患者には重要な対応となります。 2. ボツリヌス毒素治療 ❌ 誤り。ALSは進行性の運動ニューロン疾患であり、ボツリヌス毒素は神経筋接合部の機能を低下させるため、既に障害されている運動機能をさらに悪化させます。ALSの治療対象としては不適切です。 3. 摂食機能療法 ✅ 正しい。ALSは進行に伴い嚥下機能が低下し、誤嚥・窒息のリスクが増大します。摂食機能療法による食事形態の調整・嚥下代償手段の指導は、安全な栄養摂取のために必須です。 4. 意思伝達装置の利用 ✅ 正しい。ALSの進行に伴い構音機能・発声機能が失われるため、電子音声装置などの意思伝達装置は、患者のQOL維持と意思決定の表現に極めて重要です。気管切開後こそその必要性が高まります。 5. 家族への吸引指導 ✅ 正しい。気管切開患者は分泌物の自己排出困難となり、吸引は日常の必須ケアです。在宅管理では家族による吸引が生命維持に関わる重要なスキルとなります。 --- 【試験対策ポイント】 ALS対応の適否判定表: | 対応 | 目的 | ALS患者への適否 | |---|---|---| | 関節可動域訓練 | 拘縮予防・廃用防止 | ✅ 適応 | | ボツリヌス毒素 | 筋痙縮・過活動低減 | ❌ 不適応 | | 摂食機能療法 | 嚥下機能維持・誤嚥防止 | ✅ 適応 | | 意思伝達装置 | 言語機能補完 | ✅ 適応 | | 吸引指導 | 気道分泌管理 | ✅ 適応 | 重要否定知識: - ボツリヌス毒素治療の対象は「痙性斜頸」「眼瞼痙攣」などの局所性不随意運動であり、進行性運動ニューロン疾患には無効 ALS患者管理の核: - 運動機能の進行性低下に対する「廃用予防」と「症状管理」が対策の中心 - 気管切開はあくまで「呼吸管理の延命手段」であり、それ以外のリハアプローチはALS特性に基づく必要がある
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