STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第22回 言語聴覚士国家試験 第139問

音響学第22回
母音に対する音源(ソース)と声道フィルターについて誤っているのはどれか。
  1. 1.有声音源における声門体積流の振幅スペクトルは右下がりの周波数特性を示す。
  2. 2.声門の開閉1サイクルにおいて、声門体積流が0である区間の割合を声門解放率という。 ✓
  3. 3.声道の形状が変化すると、声道伝達特性の共鳴周波数も変わる。
  4. 4.口唇から放射される音声波には放射特性が重畳される。
  5. 5.音声波のスペクトルには音源とフィルタとの特性が両方現れる。

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — 声門の開閉1サイクルにおいて、声門体積流が0である区間の割合を声門解放率という。 声門解放率(Open Quotient:OQ)は、声門体積流が「0でない(≠0)」区間の割合です。つまり声門が開いている時間の割合を指し、声門が実際に流量を通している区間の比率です。一方、選択肢の説明は「声門体積流が0である区間の割合」となっており、これは逆の定義です。声門の開閉周期全体から開いている時間を除いた「閉じている時間の割合」に相当し、むしろ「声門閉鎖率」に近い概念です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 有声音源における声門体積流の振幅スペクトルは右下がりの周波数特性を示す。 ✅ 正しい。声門体積流(声帯振動による気流変化)のスペクトルは周波数が高くなるほど振幅が低下する右下がり(負の勾配)特性を示します。これは基本周波数(F0)の整数倍の倍音成分が高周波数になるほど減弱することを意味し、音響学の基本です。 2. 声門の開閉1サイクルにおいて、声門体積流が0である区間の割合を声門解放率という。 ❌ 誤り。声門解放率(OQ)の定義が逆です。声門解放率は「声門体積流が0でない(流量がある)区間の割合」であり、声門が開いて気流が通っている時間の占める比率を指します。選択肢は「流が0である区間」と述べており、これは声門が閉じている時間の割合であり、正反対の定義です。 3. 声道の形状が変化すると、声道伝達特性の共鳴周波数も変わる。 ✅ 正しい。声道の形状(特に唇の丸め、舌位置、口開度)が変わると、声道内の共鳴周波数(フォルマント周波数:F1、F2など)が変化します。異なる母音の発声では声道の形が異なり、それぞれ異なるフォルマント周波数を持つことが母音識別の音響的基盤となっています。 4. 口唇から放射される音声波には放射特性が重畳される。 ✅ 正しい。音声が口唇から空間に放射される際、唇開口部のサイズと周波数の関係により「唇放射特性」が加わります。これは高周波数で増強(+6dB/octave)される傾向を示し、音響スペクトルに影響を与えます。この放射特性は音声波形分析において重要な考慮要素です。 5. 音声波のスペクトルには音源とフィルタとの特性が両方現れる。 ✅ 正しい。音声波のスペクトル=(音源スペクトル)×(声道フィルター特性)×(放射特性)という乗算的関係です。観測される音声スペクトルには、声帯振動の音源特性と声道伝達特性の両方が反映されます。これは線形音源フィルターモデルの基本原理です。 --- 【試験対策ポイント】 声門解放率(Open Quotient)の定義:重要な出題ポイント | 用語 | 定義 | 意味 | |---|---|---| | 声門解放率(OQ) | 声門が「開いている」時間の割合 | 0~100%。高いほど声門が長く開く | | 声門閉鎖率 | 声門が「閉じている」時間の割合 | OQの補集合。100%-OQ | | 声門体積流 | 声門を通過する気流量 | 開いている間のみ0でない値 | 音源とフィルター特性の
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