第22回 言語聴覚士国家試験 第141問
聴覚心理学第22回
聴覚疲労について誤っているのはどれか。
- 1.瞬間的な騒音暴露によって生じる。 ✓
- 2.一過性の閾値の上昇が観察される
- 3.電車内等騒音下のヘッドフォン聴取で生じやすい。
- 4.繰り返すことによって恒常的な閾値上昇につながる。
- 5.音響の大きいコンサートの後などに環境音の聞こえ方が変化する。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 瞬間的な騒音暴露によって生じる。
聴覚疲労は瞬間的ではなく、継続的・反復的な騒音暴露によって生じる現象です。むしろ「瞬間的な暴露」では、音響外傷(急性音響損傷)が生じます。聴覚疲労は長時間または繰り返しの曝露で初めて観察される、時間軸が異なる現象です。
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【各選択肢の解説】
1. 瞬間的な騒音暴露によって生じる。
❌ 誤り。聴覚疲労は瞬間的な暴露ではなく、継続的・反復的な騒音暴露によって生じます。瞬間的な高音圧暴露は「音響外傷」として分類されます。聴覚疲労の成立には「時間経過」が必須です。
2. 一過性の閾値の上昇が観察される
✅ 正しい。聴覚疲労の特徴は一過性(可逆的)な閾値上昇です。騒音暴露後、静かな環境に移ると数分~数時間で元の閾値に戻ります。これが恒常的な難聴とは異なる点です。
3. 電車内等騒音下のヘッドフォン聴取で生じやすい。
✅ 正しい。背景騒音がある中でのヘッドフォン使用は、無意識に音量を上げさせます。この繰り返しにより聴覚疲労が誘発されやすい典型的なシチュエーションです。
4. 繰り返すことによって恒常的な閾値上昇につながる。
✅ 正しい。「聴覚疲労→回復」を繰り返すと、やがて回復不全が生じ、恒常的な閾値上昇(音響外傷後難聴)に移行します。職業性騒音曝露における難聴の成立機序です。
5. 音響の大きいコンサートの後などに環境音の聞こえ方が変化する。
✅ 正しい。コンサート後の「耳が詰まった感覚」や「聞きづらさ」は一過性の聴覚疲労です。数時間で改善しますが、反復すれば恒常的難聴に進行します。
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【試験対策ポイント】
聴覚疲労 vs 音響外傷(関連概念の区別)
| 項目 | 聴覚疲労 | 音響外傷 |
|---|---|---|
| 原因 | 継続的・反復的騒音 | 瞬間的・大音圧暴露 |
| 暴露時間 | 長時間(分~時間単位) | 一瞬(爆発音など) |
| 閾値変化 | 一過性(可逆的) | 恒常的(不可逆的) |
| 完全回復 | あり(数時間以内) | なし |
| 臨床例 | ヘッドフォン・工場騒音 | 花火・銃声 |
キーワード
・聴覚疲労成立には「時間」と「反復」が必須
・一過性=可逆的=聴覚疲労の特徴
・コンサート後の「詰まり感」は聴覚疲労の臨床例
・反復→恒常的難聴への進行メカニズムが出題頻出