第22回 言語聴覚士国家試験 第144問
言語学第22回
同室にいた友人に故郷の母親から電話が掛かってきたら突然共通語から方言に切り替わった。この現象の社会言語学的な説明でないのはどれか。
a.異 化
b.コード切り替え
c.変 異
d.選 択
e.変 化
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — a,e
この問題は、故郷の母親から電話がかかってきたことで、共通語から方言に切り替わる現象を説明する社会言語学の用語を判別するものです。同じ個人が同じ時間内に異なる言語変種を使い分けるこの現象について、社会言語学的説明に該当しない選択肢を2つ選ぶ必要があります。
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【各選択肢の解説】
a. 異化
❌ 誤り。異化は音韻変化の概念で、隣接する音が互いに異なる音に変わる現象(例:ラテン語animaとanimus)です。個人が親との関係で言語を使い分ける社会言語学的現象とは無関係です。
b. コード切り替え
✅ 正しい。バイリンガルや言語の複数変種を持つ話者が、相手や場面に応じて異なる言語・方言を意識的・無意識的に切り替える現象です。親という親密な相手に対して共通語から方言に切り替わるのはコード切り替えそのものです。
c. 変異
✅ 正しい。言語の地域的・社会階層的・個人的なバリエーションを指します。共通語と方言という言語变種の存在そのものが変異です。個人が2つの変異形式を持っていることを説明します。
d. 選択
✅ 正しい。社会言語学では、話者が社会文脈(相手、場面、話題など)に基づいて言語変種を選択する現象を指します。母親という相手・親密な関係という社会文脈で方言を選択する行為がこれに該当します。
e. 変化
❌ 誤り。言語学における「変化」は、通常は長時間スケール(世代間の言語体系の変化)を指す歴時的概念で、共時的な場面内での使い分けとは異なります。個人の一時的な言語使用の切り替えを説明する社会言語学用語ではありません。
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【試験対策ポイント】
| 用語 | 意味 | この問題での関連性 |
|---|---|---|
| コード切り替え | 場面・相手に応じて言語/方言を使い分け | ○ 核心的説明 |
| 変異 | 言語のバリエーション(地域差・社会差) | ○ 言語体系レベル |
| 選択 | 社会文脈に基づいた変種の選択 | ○ 動的プロセス |
| 異化 | 隣接音が互いに異なる音に変わる | ✗ 音韻変化学 |
| 変化 | 長期的な言語体系の歴時的変化 | ✗ 通言語学 |
**重要な区別:**
- 「選択」と「コード切り替え」:選択は広い概念(どの変種を使うか)、コード切り替えはより具体的(実際の言語使用の交替)
- 「異化」「変化」:どちらも個人の一時的な社会言語的現象ではなく、言語体系・音韻体系レベルの概念
- この問題で親への感情的接近で方言使用が起こるのは「社会言語学」の文脈であり、音韻変化や歴時的変化ではない