第22回 言語聴覚士国家試験 第145問
言語発達学第22回
言語発達期の過大汎用(overextention)について正しいのはどれか。
- 1.語彙の加速度的増加の結果である。
- 2.事物のカテゴリーにラベルがつく。
- 3.大人の適用範囲より広く語を使用する。 ✓
- 4.類推によって語形変化規則を広く汎用する。
- 5.同じ対象に「りんご」「くだもの」の二つのラベルがつく。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 大人の適用範囲より広く語を使用する。
過大汎用(overextension)は、幼児が習得した語を大人の使用規則より広い範囲に適用してしまう現象です。例えば「ワンワン」を犬だけでなく他の四足動物にも使う、「パパ」を父親以外の男性にも使うなど、語の範囲を過剰に拡張する言語発達段階の典型的な現象です。
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【各選択肢の解説】
1. 語彙の加速度的増加の結果である。
❌ 誤り。過大汎用は語彙爆発(加速度的増加)の「原因の一つ」ではなく、語彙発達初期(12~18ヶ月)の幼児が概念と語をマッピングしようとする過程で現れる「現象」です。語彙爆発とは別概念です。
2. 事物のカテゴリーにラベルがつく。
❌ 誤り。正しい語の習得により「カテゴリー化が進む」ことはありますが、これは過大汎用の定義ではなく、過大汎用を「乗り越える」正常な発達過程です。
3. 大人の適用範囲より広く語を使用する。
✅ 正しい。過大汎用の定義そのものです。幼児は習得語の意味範囲を大人より広く解釈して使用します。これは意味体系が未発達な証であり、正常な言語発達の過渡的段階です。
4. 類推によって語形変化規則を広く汎用する。
❌ 誤り。これは「過汎化(overgeneralization)」あるいは「規則化エラー」で、過大汎用と区別される現象です。例えば「食べた」のルールを「飲また」に適用するなど、形態規則の過度な汎用を指します。
5. 同じ対象に「りんご」「くだもの」の二つのラベルがつく。
❌ 誤り。これは「階層的カテゴリー化」や「多重ラベリング」で、語彙発達が進んだ段階の現象です。過大汎用ではなく、むしろ概念を細分化・階層化できている証です。
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【試験対策ポイント】
過大汎用とよく混同される現象:
| 用語 | 定義 | 例 | 発達段階 |
|---|---|---|---|
| 過大汎用 | 習得語を大人より広い範囲に適用 | 「ワンワン」→犬+猫+牛 | 12~24ヶ月 |
| 過汎化 | 規則を過度に汎用 | 「食べた」のルール→「飲また」 | 2~3歳 |
| 過小汎用 | 語を限定的にのみ使用 | 「ワンワン」→自分の飼い犬のみ | 12~18ヶ月 |
| 階層的カテゴリー化 | 上位概念と下位概念を区別 | 「犬」かつ「動物」「ペット」 | 2~3歳以降 |
キーワード:
- 過大汎用は「概念形成未発達」の証
- 大人より「広い」が定義(狭いのは過小汎用)
- 形態的な誤り(言い間違い)ではなく意味的現象