STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第22回 言語聴覚士国家試験 第37問

音声学第22回
母音[i] ー[ɛ] の組み合わせについて正しいのはどれか。
  1. 1.狭 ― 半 広 ✓
  2. 2.前 舌 ― 後 舌
  3. 3.鼻 音 ― 非鼻音
  4. 4.円 唇 ― 非円唇
  5. 5.有 声 ― 無 声

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — 狭 ― 半広 母音[i]は舌の最高位置が狭く、[ɛ]は舌の高さが半広(中程度)です。この舌の高さの違いが、両音の根本的な音響特性を決定します。 --- 【各選択肢の解説】 1. 狭 ― 半広 ✅ 正しい。[i]は舌が口蓋に最も近い狭母音で、[ɛ]は舌の高さが中程度の半広母音です。舌の高さはフォルマント周波数(特にF1:第1フォルマント)に直接反映され、[i]はF1が低く、[ɛ]はF1が高くなります。 2. 前舌 ― 後舌 ❌ 誤り。[i]と[ɛ]はともに前舌母音です。舌の前後位置は共通の特徴であり、両者の相違点ではありません。前舌母音の範囲内での高さの違いが問題です。 3. 鼻音 ― 非鼻音 ❌ 誤り。[i]と[ɛ]はともに非鼻音の口腔母音です。鼻音母音(例:フランス語の[ɛ̃])では鼻腔を通して音が放射されますが、通常の英語や日本語の[i][ɛ]は口腔のみから放射されます。 4. 円唇 ― 非円唇 ❌ 誤り。[i]と[ɛ]はともに非円唇母音(unrounded vowels)です。唇の形状は変わらず、相違点ではありません。舌の高さこそが本質的な区別特徴です。 5. 有声 ― 無声 ❌ 誤り。[i]と[ɛ]はともに有声音です。母音は本質的に有声音であり、[i]と[ɛ]で音声性に差はありません。 --- 【試験対策ポイント】 母音の分類軸(優先順位順) | 分類項目 | [i] | [ɛ] | 識別可能性 | |---|---|---|---| | 舌の高さ | 狭 | 半広 | ★★★ 最重要 | | 舌の前後 | 前舌 | 前舌 | × 同じ | | 唇の丸め | 非円唇 | 非円唇 | × 同じ | | 声帯振動 | 有声 | 有声 | × 同じ | | 鼻腔通過 | 非鼻音 | 非鼻音 | × 同じ | 舌の高さと音響の関係 - 舌が高い(狭)→ F1(第1フォルマント)が低い → [i] - 舌が低い(広)→ F1が高い → [a] - 舌が中程度(半広)→ F1が中程度 → [ɛ] 頻出母音の舌の高さ分類 狭母音:[i](高い) 半狭母音:[e](やや高い) 中舌母音:[ə](最も中立) 半広母音:[ɛ](やや低い) 広母音:[a](最も低い) よくある間違い:[e]と[ɛ]の混同 - [e]:半狭母音(舌が中より上) - [ɛ]:半広母音(舌が中より下) この微妙な違いを聞き分けるには、フォルマント周波数の差を認識することが重要です。
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