第22回 言語聴覚士国家試験 第38問
音声学第22回
共通語(東京方言)の標準的な発音で下線部に含まれる死因が異音の関係にならない組み合わせはどれか。
- 1.せまい(狭い) ― しまい(姉妹)
- 2.りょうめん(両面) ― せんめん(洗面) ✓
- 3.はっさん(発散) ― はっくつ(発掘)
- 4.さんかく(三角) ― さんまい(三枚)
- 5.ざっし(雑誌) ― かざん(火山)
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — りょうめん(両面) ― せんめん(洗面)
この問題は「異音関係(同一音韻の異なる実現形態)」と「異音関係でない(別の音韻)」を区別する知識が必要です。選択肢2のりょうめんの[ɾʲ]とせんめんの[n]は、どちらも別の音韻であり異音関係にありません。他の選択肢は撥音便や音環境による異音の変化を示しており、同一音韻の異なる実現です。
---
【各選択肢の解説】
1. せまい(狭い) ― しまい(姉妹)
❌ 異音関係である。[s]と[ɕ](シ行音)は同じ音韻/s/の異音で、後続する母音環境によって変化します。[i]の前では必ず[ɕ]に変わるため、異音関係は成立し、この組み合わせは「異音関係になる」側に分類されます。
2. りょうめん(両面) ― せんめん(洗面)
✅ 異音関係でない。りょうめんの[ɾʲ](りゃ行音)とせんめんの[n](ん)は音韻的に全く異なります。[ɾʲ]と[n]は別の音韻であり、同じ音韻の異なる実現ではないため、異音関係が成立しません。これが正答です。
3. はっさん(発散) ― はっくつ(発掘)
✅ 異音関係である。撥音便の現象で、[s]の前では[ɸ](ぷ行音)に変化し、[k]の前では[ŋ]に変化します。どちらも同じ音韻/N/(撥音)の異音であり、後続子音に応じた音環境変化を示しています。
4. さんかく(三角) ― さんまい(三枚)
✅ 異音関係である。撥音[N]が後続子音の影響で変化する例で、[k]の前では[ŋ]、[m]の前では[m]に実現されます。両者とも同じ撥音音韻の異音です。
5. ざっし(雑誌) ― かざん(火山)
✅ 異音関係である。撥音の現象で、[ɕ](シ)の前では[ɸ](ぷ行音)に変化し、[n]の前では[n]に変化します。同じ音韻/N/の異音として機能しています。
---
【試験対策ポイント】
異音判定の基準表:
| 現象 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 異音関係 | 同一音韻が音環境で異なる実現 | [s]→[ɕ] ([i]前) |
| 撥音便 | /N/が後続子音で変化 | さん→さ[ŋ]かく |
| 異音関係でない | 異なる音韻 | [ɾʲ]と[n] |
キーワード:
- 音環境による自動変化 → 異音(同一音韻)
- 音韻が異なる → 異音関係ではない
- 撥音便 → 後続子音により:[m]前→[m]、[k]前→[ŋ]、[s/t]前→[ɸ]
頻出パターン:
- シ行と(セ・サ行) → [ɕ]と[s]の異音化
- ら行と(り行) → [ɾ]と[ɾʲ]の異音化
- り行と(ん) → 全く異なる音韻(異音関係でない)←重要