STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第22回 言語聴覚士国家試験 第43問

言語学第22回
下線部について記号表現(能記)と記号内容(所記)との間に有契性がないのはどれか。
  1. 1.公園でわんわんを見たよ。
  2. 2.日々もんもんと暮らしている。 ✓
  3. 3.鐘がごーんと鳴った。
  4. 4.外からぽんぽんと音がする。
  5. 5.上の住人がどんどんとうるさい。

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — 日々もんもんと暮らしている。 この問題は「音象徴」(擬音語・擬態語と現実音の対応関係)を問うています。有契性とは記号表現と記号内容の間に「自然的な関連性がある」ことを意味します。「もんもん」は実際の音ではなく内的な心理状態を表す擬態語であり、音象徴(音と意味の自然な結びつき)が成立していません。一方、他の選択肢は実在する音を模写しており、音象徴が成立しています。 --- 【各選択肢の解説】 1. 公園でわんわんを見たよ。 ✅ 有契性あり。「わんわん」は犬の実際の鳴き声を模写した擬音語であり、音象徴が成立しています。記号表現と記号内容(犬の鳴き声)の間に自然な関連性があります。 2. 日々もんもんと暮らしている。 ❌ 有契性なし。「もんもん」は心の中のもやもやした気分・思い煩う心理状態を表す擬態語であり、実在の音ではありません。心理状態は音で直接的に知覚できるものではなく、音象徴が成立しないため、記号表現と記号内容の間に自然な関連性がありません。 3. 鐘がごーんと鳴った。 ✅ 有契性あり。「ごーん」は鐘の実際の鳴き音を模写した擬音語です。記号表現が記号内容(鐘の音)と音象徴で結びついており、有契的です。 4. 外からぽんぽんと音がする。 ✅ 有契性あり。「ぽんぽん」は実在する軽い叩く音や弾ける音を模写した擬音語です。音象徴により、記号表現と記号内容(実際の音)に自然な対応関係があります。 5. 上の住人がどんどんとうるさい。 ✅ 有契性あり。「どんどん」は戸を叩く音や足音などの重い音を模写した擬音語であり、実在する音を表しています。音象徴が成立しており有契的です。 --- 【試験対策ポイント】 記号論における用語整理: | 用語 | 定義 | 例 | |---|---|---| | 能記(シニフィアン) | 記号表現(音や形) | 「わんわん」という音 | | 所記(シニフィエ) | 記号内容(意味) | 犬の鳴き声 | | 有契性 | 能記と所記の自然な関連性 | 音象徴がある | | 無契性 | 能記と所記に自然な関連がない | 恣意的な言語記号 | 擬音語・擬態語の分類: - 擬音語:実在する「音」を模写(わんわん・ごーん・ぽんぽん・どんどん)→有契性あり - 擬態語:「様子」「状態」「感覚」など知覚外のものを表現(もんもん・ふんふん)→有契性なし ポイント:「見たことがない、聞いたことがない状態」を表す擬態語を見分けることが重要です。「もんもん」は心理状態であり、音で知覚できない内容を表すため、最も有契性が低いことになります。
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