STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第22回 言語聴覚士国家試験 第72問

言語発達障害学第22回
9歳男児。主訴は「漢字が書けない」。視覚的認知・記憶には問題がない。K-ABCの結果を示す。認知発達特性に合わせた指導法として適切なのはどれか。 a.絵と漢字をマッチングさせて漢字全体の形を捉える。 b.絵カードを提示して漢字の意味を理解させる。 c.ことばや番号を用いて漢字の書き順を意識させる。 d.漢字の部分に名前を付けて書き方を言語化する。 e.漢字をパズルにして空間的に形を理解する。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
第22回第72問 図

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — a,e 本問の要点は「視覚的認知・記憶に問題がない」という記述を見落とさないことです。K-ABCの検査結果が提示されており(画像問題のため図の確認が必要ですが)、この児童は視覚的認知能力が相対的に高い可能性が高いと考えられます。したがって、視覚的強みを活かした指導法(全体形の視認・空間的認識)が適切であり、言語化による順序付けや意味理解を優先する方法は、この児童の認知特性に合致していません。 --- 【各選択肢の解説】 a. 絵と漢字をマッチングさせて漢字全体の形を捉える。 ✅ 正しい。視覚的認知が強い児童に対して、図像と漢字を結びつけることで、言語的処理に頼らず視覚的な「形」として漢字を習得させる方略です。この児童の強みを直結的に活用します。 b. 絵カードを提示して漢字の意味を理解させる。 ❌ 誤り。漢字の「意味理解」を優先する指導は、言語的・意味的処理に依存します。視覚的認知に問題がなく、むしろ書き方の困難がある場合、意味理解だけでは書字習得につながりません。 c. ことばや番号を用いて漢字の書き順を意識させる。 ❌ 誤り。言語(ことば・番号)を用いた順序付けは、言語的処理を活用する指導です。視覚的強みを持つこの児童の認知特性に相反しており、適切ではありません。 d. 漢字の部分に名前を付けて書き方を言語化する。 ❌ 誤り。部分に「名前を付けて」「言語化する」は、視覚情報を言語に変換する処理であり、視覚的認知の強みを活かしていません。むしろ言語的・分析的処理を強調しており、この児童に対しては効率的ではありません。 e. 漢字をパズルにして空間的に形を理解する。 ✅ 正しい。漢字を空間的な図形として認識させるアプローチは、視覚的・空間的認知の強みを最大限に活用します。全体の形を空間配置として理解することで、視覚的認知の優位性が直接書字習得につながります。 --- 【試験対策ポイント】 限局性学習障害(LD)における指導法選択の原則 | 認知特性 | 活かすべき指導戦略 | 避けるべき指導戦略 | |---|---|---| | 視覚的認知・記憶が良好 | 全体形の視認、空間的認識、マッチング、図形化 | 言語化、順序付け、意味説明、音韻処理 | | 言語的認知が良好 | 言語化、言語的ラベリング、ストーリー化、音韻処理 | 図形処理、視覚的パターン認識の回避 | | 継次処理が良好 | 段階的指導、順序付け、ステップバイステップ | 全体的・同時的把握の要求 | | 同時処理が良好 | 全体形の認識、パターン認識、空間関係の把握 | 細分化、順序付け、段階化 | 「漢字が書けない」の問題分析フレーム - 意味理解の有無:「意味を知らない」vs「形を認識できない」 - 視覚的認知:パターン認識の強み・弱み - 指導法との対応:認知の強みを「短所補正」ではなく「長所活用」で対応 注意:選択肢に「言語化」「意味理解」が含まれていても、「視覚的認知に問題なし」という条件下では
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