第22回 言語聴覚士国家試験 第71問
言語発達障害学第22回
自閉症スペクトラム障害児へのコミュニケーション支援として適切なのはどれか。
a.間接的表現を多用して話しかける。
b.興味のもてない活動にも積極的な関わりの機会を作る。
c.言語発達の遅れのない子供には絵や写真を使用しないようにする。
d.遊びに参加したくないときの適切な断り方をロ-ルプレイで教える。
e.困ったときに援助を求める方法を場面を設定して具体的に教える。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — d,e
自閉症スペクトラム障害(ASD)児のコミュニケーション支援は、直接的かつ具体的な教授法が効果的です。社会的なやり取りや対人スキルの習得が困難な特性を踏まえ、実践的な場面設定で明示的に教えることが重要です。選択肢dとeは、ロールプレイや場面設定を通じた実践的な教育方法であり、ASD児の学習特性に合致しています。
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【各選択肢の解説】
a. 間接的表現を多用して話しかける。
❌ 誤り。ASD児は字義通りの理解傾向が強く、間接的・比喩的表現の理解が困難です。むしろ「直接的でシンプルな言語使用」が推奨されます。曖昧な指示や暗黙の了解を避け、具体的で明確な指示が支援の基本です。
b. 興味のもてない活動にも積極的な関わりの機会を作る。
❌ 誤り。ASD児の限定的興味(こだわり)を完全に否定するのではなく、「個人の興味・関心を足がかりにした関わり」が推奨されます。興味のない活動へ無理やり導入するのは関係構築の障害となり、不安や抵抗を増大させます。
c. 言語発達の遅れのない子供には絵や写真を使用しないようにする。
❌ 誤り。ASD児(特に言語発達が平均的であっても)は視覚的情報処理が強い傾向があります。言語のみの指示より「視覚支援(絵・写真・文字)」を組み合わせることで理解が促進されます。言語発達の有無と関係なく視覚支援は有効です。
d. 遊びに参加したくないときの適切な断り方をロールプレイで教える。
✅ 正しい。ASD児は社会的スキル習得が困難なため、「拒否の伝え方」を含む対人スキルを場面を設定して明示的に教えることは重要な支援です。ロールプレイは実践的で効果的な教授方法です。
e. 困ったときに援助を求める方法を場面を設定して具体的に教える。
✅ 正しい。「援助要求スキル」の習得はASD児の自立と対人関係構築に不可欠です。場面設定による具体的な教授は、ASD児の学習特性(具体的・直接的学習の優位性)に合致した支援方法です。
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【試験対策ポイント】
ASD児のコミュニケーション支援 重要原則
| 項目 | 推奨される支援 | 避けるべき支援 |
|---|---|---|
| 言語表現 | 直接的・具体的・シンプル | 間接的・比喩的・曖昧な指示 |
| 視覚支援 | 言語発達の有無を問わず実施 | 言語発達があるなら不要という誤解 |
| 興味への対応 | 興味を足がかりに段階的に拡大 | 限定的興味を完全に否定・排除 |
| 対人スキル | 場面設定・ロールプレイで明示的に教授 | 自然な学習を期待し教えない |
ASD児が習得困難な対人スキル(頻出)
- 社会的な「暗黙のルール」の理解
- 相手の気持ちの推測(心の理論の発達遅延)
- 拒否・援助要求など「意図的コミュニケーション」
- こうした領域は「具体的場面設定」での教授が効果的
「言語発達がある=視覚支援不要」は誤解
- ASD児は言語的理解より視覚的理解が強