第23回 言語聴覚士国家試験 第12問
リハ医学第23回
がんのリハビリテーションで考慮すべきこととして誤っているのはどれか。
- 1.悪液質では骨格筋量が減少する。
- 2.同化期は筋力増強訓練の適応がある。
- 3.サイトカインは易疲労の要因である。
- 4.トータルペインにはチーム医療で対応する。
- 5.リンパ浮腫に対するマッサージは禁忌である。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — リンパ浮腫に対するマッサージは禁忌である。
リンパ浮腫の管理において、マッサージ(特に徒手リンパドレナージ)は禁忌ではなく、むしろ標準的な治療手段の一つです。複合的除去療法(Complex Decongestive Therapy: CDT)の主要要素であり、有効性が確立されています。一方、選択肢1〜4はすべてがん患者のリハビリテーションにおいて正しい考慮事項です。
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【各選択肢の解説】
1. 悪液質では骨格筋量が減少する。
✅ 正しい。がん悪液質は全身の筋タンパク質異化が亢進し、骨格筋量の急速な減少が特徴です。サイトカイン(TNF-α、IL-6など)の産生によって引き起こされます。
2. 同化期は筋力増強訓練の適応がある。
✅ 正しい。がん治療に伴う「同化期」(栄養状態が改善し、代謝が同化優位の時期)は、タンパク質合成が促進されるため、筋力増強訓練を導入する最適な時期です。
3. サイトカインは易疲労の要因である。
✅ 正しい。TNF-αやIL-6などのサイトカインは、腫瘍随伴疲労(cancer-related fatigue)の主要な生理的メカニズムとして、筋タンパク質異化促進と中枢性疲労を引き起こします。
4. トータルペインにはチーム医療で対応する。
✅ 正しい。がん患者の「トータルペイン」(身体的・精神的・社会的・霊的苦痛)には、医師・ST・PT・心理士・社会福祉士など多職種による包括的アプローチが必須です。
5. リンパ浮腫に対するマッサージは禁忌である。
❌ 誤り。徒手リンパドレナージはリンパ浮腫の標準的治療です。圧迫療法・スキンケア・運動療法と共に複合的除去療法の主要要素として、有効性が国際的に認められています。むしろ適応があります。
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【試験対策ポイント】
がん患者のリハビリテーション(重要知識)
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 悪液質 | サイトカイン産生↑→骨格筋異化↑→筋量減少 |
| カキキサ期 | 分化期:体重減少が顕著。同化期は筋力増強訓練の機会 |
| 易疲労 | IL-6/TNF-αなどサイトカインが主要因→中枢性疲労 |
| トータルペイン | 身体的+精神的+社会的+霊的。チーム対応必須 |
| リンパ浮腫管理 | 圧迫療法+**徒手リンパドレナージ**+スキンケア+運動療法 |
| 禁忌療法 | 患側への強いマッサージ(組織損傷)、下肢での長時間座位 |
徒手リンパドレナージが禁忌と誤解しやすい理由:強圧迫マッサージと混同。正確には「優しい圧」「遠位から近位」が原則で、有効性が確立されている標準療法です。