第23回 言語聴覚士国家試験 第136問
音声学第23回
日本語(共通語)のアクセント核の主要な音響特徴量はどれか。
- 1.母音の継続時間長の伸長
- 2.子音の強さの増大
- 3.基本周波数の下降 ✓
- 4.第1フォルマントの低下
- 5.第3フォルマントの遷移
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 基本周波数の下降
日本語共通語のアクセント核(ピッチアクセント)は、基本周波数(F0)の急激な下降によって知覚される音響現象です。アクセント核の位置で顕著なF0低下が生じ、これが語のアクセント型を区別する最も重要な音響的特徴となります。
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【各選択肢の解説】
1. 母音の継続時間長の伸長
❌ 誤り。継続時間(duration)は日本語のアクセント核を形成する主要素ではありません。むしろ、アクセント核の位置は周波数特性で決定され、継続時間は二次的です。
2. 子音の強さの増大
❌ 誤り。子音の強さ(intensity)の増大はアクセント核を特徴づけません。強度の変化は周波数変化ほど聴覚的に重要ではなく、日本語ピッチアクセント体系では機能しません。
3. 基本周波数の下降
✅ 正しい。日本語共通語のアクセント核は、その直後に生じる基本周波数(F0)の急激な下降によって特徴づけられます。この下降がアクセント核の位置を決定し、語の意味弁別に機能します。
4. 第1フォルマントの低下
❌ 誤り。第1フォルマント(F1:舌の上下位置反映)の変化はアクセント核形成に直接関わりません。F1は母音の質的特性に関与しており、ピッチアクセントとは独立しています。
5. 第3フォルマントの遷移
❌ 誤り。第3フォルマント(F3:舌の前後位置反映)の遷移はアクセント核を形成する要因ではなく、むしろ子音の質的特性に関連します。
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【試験対策ポイント】
日本語ピッチアクセント体系における音響特徴の序列:
| 特徴量 | 重要度 | 機能 |
|---|---|---|
| 基本周波数(F0) | 最重要 | アクセント核の位置決定・語の意味弁別 |
| 基本周波数の下降 | 最重要 | アクセント核の音響的表現 |
| 継続時間 | 二次的 | アクセント核に直接寄与しない |
| 強度(intensity) | 二次的 | アクセント核形成に機能しない |
| フォルマント | 二次的 | 母音質に関与(アクセント核ではない) |
重要概念の整理:
- **ピッチアクセント vs 強勢アクセント**:日本語はピッチ(周波数)型→F0が決定要因。英語は強勢型→強度が決定要因
- **アクセント核の音響現象**:核の「直後」で必ずF0が下降する。これが知覚のキューになる
- **フォルマント値は無関係**:F1・F2・F3はすべて母音の音色特性に関与し、ピッチレベルの指標ではない
頻出紛らわしい点:
- 「継続時間」は弁別的特徴ではない(棒読みでもアクセント核は知覚される)
- 「強度」増加とアクセント核は混同しやすいが、日本語ではF0下降が主役