第23回 言語聴覚士国家試験 第137問
音声学第23回
日本語(共通語)の音素対立を説明する弁別素性が足りない組合せはどれか。
- 1./t/ と /d/ ――― [±声]
- 2./k/ と /d/ ――― [±破裂音][±軟口蓋音] ✓
- 3./d/ と /n/ ――― [±破裂音][±鼻音]
- 4./t/ と /s/ ――― [±破裂音][±摩擦音]
- 5./t/ と /k/ ――― [±歯茎音][±軟口蓋音]
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — /k/ と /d/ ――― [±破裂音][±軟口蓋音]
音素対立を弁別素性で説明する問題です。2番が誤りの理由は、/k/と/d/の対立を「[±破裂音][±軟口蓋音]」だけで区別できないためです。/k/は「破裂音・軟口蓋音」、/d/は「破裂音(非軟口蓋音)・歯茎音」ですが、両者の最大の違いは「声」です。/k/は無声音、/d/は有声音という根本的な特性が見落とされており、[±声]という重要な弁別素性が欠けています。
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【各選択肢の解説】
1. /t/ と /d/ ――― [±声]
✅ 正しい。/t/(無声歯茎破裂音)と/d/(有声歯茎破裂音)の唯一の違いは声帯の振動の有無です。[±声]という1つの素性で十分に弁別できます。
2. /k/ と /d/ ――― [±破裂音][±軟口蓋音]
❌ 誤り。/k/(無声軟口蓋破裂音)と/d/(有声歯茎破裂音)は、破裂音という点で共通し、軟口蓋音で異なります。しかし最も重要な違いは「声」です。/k/は無声、/d/は有声という本質的な対立を[±声]で表現する必要があり、指定の素性では不十分です。
3. /d/ と /n/ ――― [±破裂音][±鼻音]
✅ 正しい。/d/(有声歯茎破裂音)と/n/(有声歯茎鼻音)は、どちらも有声・歯茎音で共通しますが、破裂音か鼻音かで区別されます。この2つの素性で完全に弁別可能です。
4. /t/ と /s/ ――― [±破裂音][±摩擦音]
✅ 正しい。/t/(無声歯茎破裂音)と/s/(無声歯茎摩擦音)は同じ無声・歯茎音ですが、気流の遮断方法(破裂 vs 摩擦)で完全に区別されます。この2つの素性で十分です。
5. /t/ と /k/ ――― [±歯茎音][±軟口蓋音]
✅ 正しい。/t/(歯茎破裂音)と/k/(軟口蓋破裂音)は、どちらも無声破裂音で共通しますが、調音位置(歯茎 vs 軟口蓋)で完全に区別されます。この2つの素性で十分です。
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【試験対策ポイント】
弁別素性とは:2つの音素を区別するために必要な音韻特性。余すことなく、過不足なく列挙する必要がある。
主要な弁別素性の例:
- [±声]:声帯振動の有無(最も基本的)
- [±破裂音][±摩擦音][±鼻音]:気流の遮断様式
- [±歯茎音][±軟口蓋音][±両唇音]:調音位置
- [±高い][±円唇]:母音特性
頻出ペアの弁別素性:
| 音素ペア | 共通素性 | 弁別素性 |
|---|---|---|
| /t/ ↔ /d/ | 無声/有声 | [±声] |
| /t/ ↔ /s/ | 無声・歯茎 | [±破裂音][±摩擦音] |
| /t/ ↔ /k/ | 無声・破裂 | [±歯茎音][±軟口蓋音] |
| /d/ ↔ /n/ | 有声・歯茎 | [±破