第23回 言語聴覚士国家試験 第143問
言語学第23回
3項動詞(複他動詞)を述語とする文はどれか。
a.AさんがBさんを公園で待った。
b.AさんがBさんを車に乗せた。
c.AさんがBさんに本をあげた。
d.AさんがBさんにフランス語を教えた。
e.AさんがBさんに電話でどなった。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — c,d
3項動詞(複他動詞)とは、主語と目的語に加えて、さらに第3の項(補語や間接目的語)を必須とする動詞です。文が文法的に成立するために「誰が」「何を」「誰に(何に)」の3つの項が必要な構造を持つかどうかが判定基準となります。
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【各選択肢の解説】
a. AさんがBさんを公園で待った。
❌ 誤り。これは2項動詞です。「待つ」は「誰が」「何を(誰を)」の2つの項で成立し、「公園で」は副詞句(修飾要素)であり、必須の項ではありません。
b. AさんがBさんを車に乗せた。
❌ 誤り。この文の述語「乗せた」は、厳密には「乗せ」と「た」で構成されており、外見上3項に見えても、「誰が」「誰を」「車に」の構造で、「車に」は場所を表す副詞句です。必須項ではなく修飾要素と解釈できるため、2項動詞と見做される傾向があります。
c. AさんがBさんに本をあげた。
✅ 正しい。「あげる」は「誰が(A)」「誰に(B)」「何を(本)」の3つの項が必須です。「本をあげた(本をあげた先の人が必要)」→「誰にあげたのか」が必須となるため、典型的な3項動詞です。
d. AさんがBさんにフランス語を教えた。
✅ 正しい。「教える」は「誰が(A)」「誰に(B)」「何を(フランス語)」の3つの項が必須です。「教えた」の主体、対象、内容がすべて必要で、いずれか一つが欠けると文が不完全になる典型的な3項動詞です。
e. AさんがBさんに電話でどなった。
❌ 誤り。「どなる」は「誰が」「誰に」の2項で成立します。「電話で」は手段を表す副詞句であり、必須の項ではありません。
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【試験対策ポイント】
3項動詞の見分け方
項の種類 | 定義 | 必須か
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主語 | 誰が・何が | 必須
直接目的語 | 何を・誰を | 必須
間接目的語/補語 | 誰に・何に・どこに | 必須か副詞句か**区別が鍵**
判定フロー
1. 文が文法的に成立するために、その要素が必須か?
2. 削除すると「不自然」か「不完全」か?
3. 副詞句(修飾要素)として代替可能か?
3項動詞の典型例
- あげる・くれる・もらう(与受動詞)→「誰に」が必須
- 教える・聞く(伝達動詞)→「誰に」が必須
- 乗せる・置く(配置動詞)→解釈により異なる場合がある
頻出の紛らわしい例
- 「待つ」「どなる」など:場所・手段は修飾要素
- 「乗せる」:選択肢bの議論は学派によって見方が異なる場合あり