第23回 言語聴覚士国家試験 第144問
言語学第23回
記述主義的な態度でないのはどれか。
- 1.[saŋa]と発音する人の割合と[saɣa]と発音する人の割合を記録した。
- 2.「行く」の尊敬語として「行かれる」を使う人の割合を記録した。
- 3.「高く」のアクセントが100人の被検者でどのような型に分かれるか記録した。
- 4.「食べれる」と言っていた人に介入することで、一定期間後に「食べられる」と言うようになった人の割合を記録した。 ✓
- 5.「ボルダリングに挑戦する」と言う人と「ボルダリングを挑戦する」と言う人との割合を記録した。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 「食べれる」と言っていた人に介入することで、一定期間後に「食べられる」と言うようになった人の割合を記録した。
記述主義的態度とは、言語現象を「ありのままに記述する」という姿勢です。4番は介入によって言語使用を意図的に変化させているため、言語変化を「記述」しているのではなく「規範的に矯正」しています。これは規範主義的態度(正誤判定に基づいて価値判断を下す立場)であり、記述主義的ではありません。
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【各選択肢の解説】
1. [saŋa]と発音する人の割合と[saɣa]と発音する人の割合を記録した。
✅ 正しい。異なる音韻実現の使用割合を中立的に記録しており、どちらが「正しい」かの判定なく実態を記述しています。
2. 「行く」の尊敬語として「行かれる」を使う人の割合を記録した。
✅ 正しい。複数の敬語表現形式がどの程度使用されているかを客観的に記録しており、規範的価値判定を含みません。
3. 「高く」のアクセントが100人の被検者でどのような型に分かれるか記録した。
✅ 正しい。方言差やアクセント体系の多様性をあるがままに記録しており、記述主義的です。
4. 「食べれる」と言っていた人に介入することで、一定期間後に「食べられる」と言うようになった人の割合を記録した。
❌ 誤り。「食べられる」が正しい・標準的な形であるという価値判断に基づいて言語使用を矯正しようとしており、規範主義的態度です。記述主義は言語変化に対して中立的であるべきです。
5. 「ボルダリングに挑戦する」と言う人と「ボルダリングを挑戦する」と言う人との割合を記録した。
✅ 正しい。格助詞の異なる選択を中立的に記録しており、どちらかが誤りであるという判定なく実態を提示しています。
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【試験対策ポイント】
記述主義 vs 規範主義の判別法
| 記述主義 | 規範主義 |
|---|---|
| 言語をありのままに記述 | 言語の正誤を判定 |
| 多様性を中立的に記録 | 標準形を「正しい」とする |
| 変化を客観的に追跡 | 変化を「逸脱」と捉える |
| 話者の実態に焦点 | 規則・規範に焦点 |
重要:「介入」「矯正」「指導」といった行為は、規範主義的です。話者の言語使用を意図的に変化させようとしている時点で記述的ではなく処方的(prescriptive)になります。