第23回 言語聴覚士国家試験 第145問
言語発達学第23回
平均発話長(MLU)の算出に用いるのはどれか。
- 1.語
- 2.音素
- 3.音節
- 4.文節
- 5.形態素 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 形態素
MLU(Mean Length of Utterance:平均発話長)は、子どもの言語発達を評価する際の重要な指標であり、1発話に含まれる形態素数の平均値として算出されます。形態素は言語の最小意味単位であり、子どもの文法発達(特に形態論的複雑さ)を適切に反映するため、国際的に標準化されたMLU測定では形態素が採用されています。
---
【各選択肢の解説】
1. 語
❌ 誤り。語単位でのカウントは複合語や接尾辞などの文法的発達を捉えられません。MLUは単なる語数ではなく、より細かい文法単位での測定を必要とします。
2. 音素
❌ 誤り。音素は音韻体系の最小単位であり、言語発達の文法的側面を測定するMLUには適していません。音素数で測定すれば、会話の流暢性や音韻体系の発達は反映されますが、統語的発達は捉えられません。
3. 音節
❌ 誤り。音節で測定することも考えられますが、「木」と「走る」が同じ音節数でカウントされてしまい、文法的複雑さの差を反映できません。形態素ほど言語発達の質的側面を敏感に捉えられません。
4. 文節
❌ 誤り。文節は日本語の分析単位として存在しますが、国際的なMLU測定の標準化には採用されていません。また、言語によって文節の定義が異なるため、比較研究に適さないという課題があります。
5. 形態素
✅ 正しい。形態素は言語の最小意味単位(自由形態素と拘束形態素の両者を含む)であり、子どもの統語発達と形態論的発達の両方を反映します。Brown(1973)以来、英語研究で標準化され、日本語でも同様に採用されています。
---
【試験対策ポイント】
MLU測定の基礎知識
| 項目 | 説明 | MLU測定に適切か |
|---|---|---|
| 語 | 辞書的意味をもつ単位 | ✗(複雑性を捉えにくい) |
| 形態素 | 最小意味単位(自由形+拘束形) | ✓(標準化指標) |
| 音素 | 音韻体系の最小単位 | ✗(文法発達を反映しない) |
| 音節 | 音の構成単位 | ✗(意味差を区別できない) |
発話単位の選択における「最小意味単位」の重要性
- 形態素を採用する理由:接尾辞(-た、-ない、-る等)や複合語の中の語素を分離カウントすることで、子どもの**文法的複雑化**を感度高く測定できる
- 例)「走った」=1語だが、「走る」「過去形」の2形態素として測定
Brown(1973)以来の国際標準化
- 英語研究で確立され、日本語研究にも応用
- 通常50~100発話を対象に平均値を算出