第23回 言語聴覚士国家試験 第25問
認知心理学第23回
この図から三角形が見える現象はどれか。(図表)
- 1.仮現運動
- 2.認知地図
- 3.視覚的断崖
- 4.主観的輪郭 ✓
- 5.形の恒常性
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 主観的輪郭
この図は3つの「Pacmanのような図形」が配置されているもので、実際には三角形の線は描かれていません。しかし脳が欠けた部分を補って「白い三角形」を知覚する現象です。これが主観的輪郭(カニッツァの三角形)であり、脳が不完全な情報から全体像を推測する知覚現象です。
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【各選択肢の解説】
1. 仮現運動
❌ 誤り。仮現運動は、静止した複数の刺激が時間的に短い間隔で呈示されるとき、連続した運動に見える現象です(映画やパラパラ漫画)。この問題は静止した図形の知覚なので該当しません。
2. 認知地図
❌ 誤り。認知地図は、環境空間(街や建物など)の心的表現であり、ナビゲーション時に形成される知識です。単一の図形知覚の問題とは無関係です。
3. 視覚的断崖
❌ 誤り。視覚的断崖はGibsonとWalkの古典実験で、乳幼児が高さの認識と恐怖反応を調べるもの。奥行き知覚に関する発達現象であり、この問題と無関係です。
4. 主観的輪郭
✅ 正しい。カニッツァの三角形として有名な現象。物理的には存在しない三角形の輪郭線を、脳が「補完」して知覚します。これは上位の認知的処理(予測と補完)が下位の感覚情報を統制することを示します。
5. 形の恒常性
❌ 誤り。形の恒常性は、対象物が異なる角度や距離から見えても同じ形として知覚される現象です。この問題は「存在しない輪郭を補完して見える」という補完作用であり、恒常性ではありません。
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【試験対策ポイント】
視覚知覚現象の分類(ST試験頻出)
| 現象 | 定義 | 例 |
|---|---|---|
| 主観的輪郭 | 物理的に存在しない輪郭線を補完して知覚 | カニッツァの三角形、不完全な円 |
| 形の恒常性 | 角度・距離変化しても同じ形として知覚 | 斜めから見たカップも「カップ」と認識 |
| 大きさの恒常性 | 距離が変わっても同じサイズとして知覚 | 遠い車も「小さくない」と認識 |
| 仮現運動 | 静止刺激の時間差呈示で運動に見える | 映画、LED看板の動く矢印 |
| 色恒常性 | 照明が変わっても色が変わって見えない | 昼間・夜間で同じ色認識 |
視覚的補完の仕組み:Gestalt心理学の法則
- 近接の法則:近い要素は一つのグループ
- 連続の法則:連続した線として認識
- 閉合の法則:不完全な図を閉じた形として補完←主観的輪郭の本質
- 図地分離:背景から図を区別