第23回 言語聴覚士国家試験 第38問
音声学第23回
共通語(東京方言)で母音の無声化が生じやすい環境はどれか。
a.ヤ行音
b.母音「イ」
c.後続子音が無声破裂音
d.先行子音が鼻音
e.「ウ」の長母音
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c
共通語で母音の無声化は、無声子音に挟まれた「イ」「ウ」で生じやすく、特に高い周波数の「イ」と、後続が無声破裂音(p, t, k)の環境で促進されます。b(母音「イ」)とc(後続子音が無声破裂音)が該当します。
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【各選択肢の解説】
a. ヤ行音
❌ 誤り。ヤ行音(有声音)に挟まれた母音は、周囲が有声音であるため無声化が生じにくい。無声化は無声子音の環境で促進される。
b. 母音「イ」
✅ 正しい。「イ」は高周波音で気流感度が高く、無声子音(特に先行子音)に囲まれると無声化しやすい。例:「木」「菊」など。
c. 後続子音が無声破裂音
✅ 正しい。後続が無声破裂音(p, t, k)の場合、その無声性の影響を受けて先行する母音が無声化しやすくなる。例:「白」(しろ→[ɕ̥iro])では「イ」が無声化。
d. 先行子音が鼻音
❌ 誤り。先行が鼻音(m, n)の場合、鼻音は有声音であるため、その後の母音の無声化を促進しない。むしろ有声環境である。
e. 「ウ」の長母音
❌ 誤り。「ウ」の長母音は継続時間が長く、その間に有声性を保ちやすいため、単短の「ウ」よりも無声化しにくい。単短の「ウ」の方が無声化しやすい。
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【試験対策ポイント】
母音無声化の原則:
| 要因 | 無声化 | 理由 |
|---|---|---|
| 先行子音が無声音 | 促進される | 無声性の影響 |
| 後続子音が無声破裂音 | 促進される | 無声性の持続 |
| 母音「イ」「ウ」 | 促進される | 周波数が高く、気流感度が高い |
| 母音「ア」「エ」「オ」 | 起こらない | 周波数が低く、無声化困難 |
| 先行が有声音 | 抑制される | 有声環境 |
| 後続が有声音 | 抑制される | 有声環境 |
頻出具体例:
・「する」[ɕ̥ɯɾu]:「ウ」が無声化
・「木」[kî]:「イ」が無声化
・「白」[ɕ̥iro]:「イ」が無声化
・「月」[tɕ̥uki]:「ウ」「イ」両者が無声化
重要な誤解ポイント:
「無声化 ≠ 聴覚的に消失」→無声性を示す音響特性は残存する。言語音韻としては機能的に消失に近い現象。