第24回 言語聴覚士国家試験 第101問
医学総論第24回
インシデントレポートについて正しいのはどれか。
- 1.情報共有は同一職種内に留める。
- 2.提出数が少ないほど医療の質が高い。
- 3.医療安全支援センターへの報告義務がある。
- 4.健康被害がなくても過失があれば提出する。 ✓
- 5.当事者の責任を追及することが目的である。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 健康被害がなくても過失があれば提出する。
インシデントレポートは「有害事象に至らなかった事例」と「健康被害があった事例」の両方を報告対象とします。医療安全文化では、過失の有無や実害の有無にかかわらず、医療の安全性を脅かす全ての事象を早期に認識・改善することが重要とされており、軽微な事例や未然に防ぐことができた事例も含めて包括的に報告することで、医療機関全体の安全体制を強化します。
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【各選択肢の解説】
1. 情報共有は同一職種内に留める。
❌ 誤り。インシデントレポートの情報共有は、医師・看護師・言語聴覚士など異なる職種を含む「医療安全委員会」や「多職種チーム」で検討されます。むしろ多角的視点からの分析と改善が医療安全の原則です。
2. 提出数が少ないほど医療の質が高い。
❌ 誤り。むしろ逆です。インシデント報告が少ないことは、事例が隠蔽されている可能性を示唆し、医療安全文化が成熟していないことを意味します。提出数が多い施設ほど、安全意識が高く報告体制が充実していると評価されます。
3. 医療安全支援センターへの報告義務がある。
❌ 誤り。医療安全支援センターへの報告は「努力義務」であり、「義務」ではありません。インシデント報告は医療機関内での改善に主眼があります。
4. 健康被害がなくても過失があれば提出する。
✅ 正しい。インシデントレポートの対象は「安全上の懸念事項」であり、医療事故(健康被害あり)、ニアミス(無害事例)、ヒヤリハット(未然防止)などを広く含みます。過失がある場合は特に重要な報告対象です。
5. 当事者の責任を追及することが目的である。
❌ 誤り。インシデントレポートの目的は「医療安全の改善」であり、「当事者の責任追及」ではありません。むしろ個人責任ではなく「システムの問題点を検出・改善する」ことが医療安全の基本原則です。責任追及的な扱いをすると報告が減少し、安全文化が損なわれます。
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【試験対策ポイント】
医療安全の基本的三つの概念
| 概念 | 定義 | 報告義務 |
|---|---|---|
| 医療事故 | 医療行為に起因して患者に健康被害が発生 | 医療安全支援センターへ努力義務あり |
| インシデント | 健康被害なし(ニアミス・ヒヤリハット含む) | 医療機関内報告が主 |
| アドバース・イベント | 医療に関連した有害な出来事(起因性不問) | センター報告対象 |
インシデントレポートの重要原則
- 「報告目的」:当事者追及ではなく、システム改善・再発防止
- 「報告対象」:有害性の有無、過失の有無を問わない
- 「情報流通」:多職種による検討が必須(同一職種限定は誤り)
- 「報告数の評価」:多い=安全文化の成熟度が高い
- 「法的側面」:施設内報告と外部報告(支援センター)は別制度
頻出誤解パターン
1. 「過失=必ず報告すべき」と「健康被害がないなら報告不要」を混同
2. 「報告数が少ない=安全」という逆向きの誤解
3. 医療安全支援センターへの報