第28回 言語聴覚士国家試験 第52問
医学総論第28回
医療倫理において、パターナリズムを否定するのはどれか。
- 1.自律尊重 ✓
- 2.善行
- 3.無危害
- 4.正義
- 5.博愛
正答:1番
解説
# 第28回 第52問 解説
■ 正答:1番 — **自律尊重**
パターナリズムは「相手の利益のため」と判断して、本人の意思に反して医療者側が行動を決定することです。これを否定する倫理原則が**自律尊重(autonomy)**です。自律尊重は患者の自己決定権を最大限に尊重し、インフォームドコンセントに基づく医療の基本となります。
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【各選択肢の解説】
1. **自律尊重**
✅ 正しい。患者の自己決定権を尊重し、本人の意思に基づかない医療者の判断的行動(パターナリズム)を否定する原則です。
2. **善行(Beneficence)**
❌ 誤り。患者の利益のために行動する義務。パターナリズムはしばしば「患者のためだから」という善行の名のもとに正当化されます。
3. **無危害(Non-maleficence)**
❌ 誤り。患者に危害を加えないという義務。パターナリズムと同様に「危害から守るため」という理由で行動が制限されることがあります。
4. **正義(Justice)**
❌ 誤り。医療資源の公平な配分など公平性に関する原則。パターナリズムとは直接の対立関係にありません。
5. **博愛(Charity)**
❌ 誤り。慈善心や思いやりの精神。パターナリズムの動機となることもあり、これを否定する原則ではありません。
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【試験対策ポイント】
**パターナリズムと医療倫理の4原則の関係図**:
| 原則名 | 内容 | パターナリズムとの関係 |
|---|---|---|
| **自律尊重** | 患者の自己決定権を尊重 | **これだけがパターナリズムを明確に否定する** |
| 善行 | 患者の最善の利益を追求 | パターナリズムの主な正当化根拠に使われやすい |
| 無危害 | 患者への危害を防止 | 患者の自由を制限する根拠として機能しやすい |
| 正義 | 医療資源の公平配分 | パターナリズムとの対立軸ではない |
**医療倫理の4原則(Beauchamp & Childress)**:
- 自律尊重(Autonomy)
- 善行(Beneficence)
- 無危害(Non-maleficence)
- 正義(Justice)
**パターナリズムが問題になる具体例**:
- 医師が患者の同意なく検査結果の一部を隠す(「患者の不安を減らすため」という名目)
- 高度な医学知識があるからという理由で患者に十分な説明をしない
- 患者本人の希望する治療法を医者が「効果がないから」と一方的に否定
**重要語句**:
- **インフォームドコンセント**:医者の説明に基づき患者が自由に同意を決定するプロセス
- **医学的パターナリズム**:医学的知識の専門性を根拠に患者の自由を制限する行為
- **"father knows best"(父親は最善を知っている)**:パターナリズムの語源的イメージで、家父長的権威主義を示す
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**国試での出題パターン**:
パターナリズムに関する問題は「何がパターナリズムを否定するか」という形で出題されることが多く、必ず**自律尊重**が正答になります。逆に「患者の利益」「危害からの保護」を理由に行動することはパターナリズムの典型なので、これらの原則は正答にはなりません。