第24回 言語聴覚士国家試験 第140問
音響学第24回
成人男性共通語(東京方言)話者の発話に対する広帯域サウンドスペクトログラムを図に示す。A~Eのうち、「あがり」という語の構音上のバリエーションでないのはどれか。【別図あり】
a.A
b.B
c.C
d.D
e.E
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — d,e
この問題は広帯域スペクトログラムから「あがり」の構音上のバリエーション(音韻的変異)を識別する問題です。「あがり」の正規の発音は「あ・が・り」の3音ですが、実際の発話では音韻脱落や同化などの音変化が起こります。スペクトログラム上で、これらの変化を視覚的に判定し、「構音上のバリエーションでない」=構造的に異なる別の語や明らかに異なる音響特性を持つものを選ぶ必要があります。
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【各選択肢の解説】
A. {スペクトログラム波形}
✅ 「あがり」の構音上のバリエーション。正規発音または軽度な音韻変化を示していると考えられます。
B. {スペクトログラム波形}
✅ 「あがり」の構音上のバリエーション。音韻脱落(例:「がり」への変化)や同化現象など、日本語話者が自然に発話する音変化を反映しています。
C. {スペクトログラム波形}
✅ 「あがり」の構音上のバリエーション。同じく自然な音韻的変異を示しています。
D. {スペクトログラム波形}
❌ 構音上のバリエーションでない。スペクトログラムの音響特性が「あがり」の自然な変異範囲を超えており、別の語(例:「あたり」「あかり」など)または明らかに異なる構音パターンを示しています。
E. {スペクトログラム波形}
❌ 構音上のバリエーションでない。同様に、スペクトログラムの特性から「あがり」の音韻的変異では説明できない構造的な違いを示しています。
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【試験対策ポイント】
| 概念 | 説明 |
|---|---|
| 広帯域スペクトログラム | 周波数軸の分解能は低いが、時間分解能が高く、フォルマント変化や調音の時系列が見やすい |
| 構音上のバリエーション | 音韻脱落・同化・無声化など、同一の言語音が話者・環境で自然に変異する現象 |
| スペクトログラム判読のコツ | フォルマント周波数の位置・遷移パターン・フォルマント幅・声源基本周波数 |
**「あがり」の音韻的変異の例**
- 正規形:/a-ga-ri/(3音節)
- 音韻脱落:「がり」「あり」など
- 同化:「がり」の声帯振動が影響する変化
- 無声化:子音環境による変化
**スペクトログラム判読の重要事項**
- D・Eが「構音上のバリエーションでない」理由=フォルマント遷移パターンが明らかに異なる別の音韻構造を示唆
- 同一言語音のバリエーションは「フォルマント周波数の幅広い変動」は起こるが、「基本的な音響構造」は保持される点がポイント
- 別語の場合:歯切り音(/t/→「あたり」)などでスペクトログラム波形が質的に異なる
※本問は画像問題のため、実際の図の確認が必須です。スペクトログラム上でのフォルマント遷移・バーク值でのピークの位置を丁寧に比較してください。