STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第24回 言語聴覚士国家試験 第141問

聴覚心理学第24回
1KHzの中心周波数を持つ狭帯域雑音と純音を提示し、純音の周波数を変化させて最小可聴値を調べた。誤っているのはどれか。
  1. 1.狭帯域雑音の中心周波数と純音の周波数とが一致するとき、狭帯域雑音を10dB強くすると純音の最小可聴値も10dB増大する。
  2. 2.狭帯域雑音の中心周波数と純音の周波数とが一致するときにマスキングが最大になる。
  3. 3.純音の周波数が狭帯域雑の中心周波数より低い方が、高い場合よりマスキングされやすい。 ✓
  4. 4.狭帯域雑音と純音とをそれぞれ左右の異なる耳に与えてもマスキングが生じる。
  5. 5.狭帯域雑音と純音とが同時に提示されない場合でもマスキングが生じる。

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — 純音の周波数が狭帯域雑音の中心周波数より低い方が、高い場合よりマスキングされやすい。 マスキング効果は周波数軸で非対称的であり、マスキング音よりも高周波側の純音がより強くマスキングされる傾向があります。したがって、1KHz中心の狭帯域雑音の場合、1KHz近辺の低周波寄りの純音よりも、むしろ高周波寄りの純音がより強くマスキングされるため、この選択肢は誤りです。 --- 【各選択肢の解説】 1. 狭帯域雑音の中心周波数と純音の周波数とが一致するとき、狭帯域雑音を10dB強くすると純音の最小可聴値も10dB増大する。 ✅ 正しい。マスキング音の強度が10dB増加すると、マスキングされた純音の最小可聴値(マスキング閾値)も約10dB増加します。これはマスキングの基本原則で、マスキング効果はマスキング音の強度に線形に近い関係を示します。 2. 狭帯域雑音の中心周波数と純音の周波数とが一致するときにマスキングが最大になる。 ✅ 正しい。マスキング効果は、マスキング音の周波数帯域と純音の周波数がもっとも近接したとき(同じとき)に最大となります。これが周波数特異性マスキング(周波数選択性)の基本です。 3. 純音の周波数が狭帯域雑音の中心周波数より低い方が、高い場合よりマスキングされやすい。 ❌ 誤り。実際にはマスキング効果は高周波側に非対称的に拡がります。1KHz中心の狭帯域雑音の場合、1KHzより低周波の純音よりも、1KHzより高周波側の純音がより強くマスキングされる傾向があります(高周波への拡がりの方が大きい)。 4. 狭帯域雑音と純音とをそれぞれ左右の異なる耳に与えてもマスキングが生じる。 ✅ 正しい。これは両耳マスキング(binaural masking)またはクロストークマスキングの現象です。完全な遮音がない限り、反対耳への信号が漏れて、あるいは中枢神経レベルでのマスキングが生じるため、マスキングが観察されます。 5. 狭帯域雑音と純音とが同時に提示されない場合でもマスキングが生じる。 ✅ 正しい。これは時間的マスキング(temporal masking)で、マスキング音が先行する場合は前向きマスキング(forward masking)、後続する場合は後向きマスキング(backward masking)と呼ばれます。特に前向きマスキングは顕著です。 --- 【試験対策ポイント】 マスキング現象の重要ポイント: | 項目 | 説明 | |---|---| | 周波数特異性 | マスキング音と純音の周波数が一致するとき最大 | | 周波数非対称性 | 低周波音→高周波側をより強くマスキング(高周波への拡がりが大きい) | | 強度関係 | マスキング音+10dB → マスキング閾値+10dB(線形関係) | | 両耳マスキング | 異なる耳へも一定程度マスキングが生じる | | 時間的マスキング | 前向き・後向きマスキングの両者で生じ、特に前向きが顕著 | キーワード:「周波数非対称性」が出題の核。低周波マスキング音は高周波をより強くマスキングすることは頻出知識です。
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