第24回 言語聴覚士国家試験 第151問
言語学第24回
言語の特徴について誤っているのはどれか。
- 1.認知・記憶などの機能と密接に関連している。
- 2.発話は形態素からなり、形態素は音素からなることを二重文節という。
- 3.記号表現(能記)と記号内容(所期)との結びつきに必然性がないことを恣意性という。
- 4.音素や語などが時間軸上に一列に配列される性質を線条(線状)性という。
- 5.具象名詞にあって、抽象名詞にはない性質を有契性・有縁性という。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 具象名詞にあって、抽象名詞にはない性質を有契性・有縁性という。
有契性・有縁性は「具象名詞」と「抽象名詞」の違いではなく、言語全体の普遍的な特徴です。有契性は言語記号と現実世界の間に原因的・空間的な関係がある状態を示し、具象名詞・抽象名詞を問わず、すべての言語単位に認められる性質ではありません。この選択肢は言語の根本的な特性を誤解しています。
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【各選択肢の解説】
1. 認知・記憶などの機能と密接に関連している。
✅ 正しい。言語は人間の認知・思考・記憶などの高次精神機能と不可分に結びついており、これらの機能なしに言語使用は成立しません。
2. 発話は形態素からなり、形態素は音素からなることを二重文節という。
✅ 正しい。二重文節(ダブルアーティキュレーション)はマルティネによる重要な言語特徴で、音素という無意味な単位→形態素という最小意味単位への二段階構造を指しています。
3. 記号表現(能記)と記号内容(所期)との結びつきに必然性がないことを恣意性という。
✅ 正しい。能記(シニフィアン)と所記(シニフィエ)の結びつきに必然的理由がないという恣意性は、ソシュール言語学の基本原理です。例えば「犬」という音の並びと犬という動物の間に必然的結びつきはありません。
4. 音素や語などが時間軸上に一列に配列される性質を線条(線状)性という。
✅ 正しい。線条性(線状性)は、言語が時間軸に沿って一つの要素が他の要素の後に続く直線的構造を持つという言語の本質的特徴です。
5. 具象名詞にあって、抽象名詞にはない性質を有契性・有縁性という。
❌ 誤り。有契性・有縁性は具象名詞に限定される性質ではなく、言語全般における記号と現実との関係を示す概念です。実際には具象・抽象を問わず、すべての言語要素に何らかの関連性があるか否かは個別的な問題であり、「具象名詞だけにある性質」ではありません。
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【試験対策ポイント】
言語の6大特徴(ソシュール&マルティネ):
| 特徴名 | 定義 | 具体例 |
|---|---|---|
| 恣意性 | 記号表現と内容に必然性がない | 「犬」の音と動物の結びつき |
| 二重文節 | 無意味な音素→意味ある形態素 | [d][ɔ][g]→「dog」 |
| 線条性 | 時間軸上への一列配列 | ba・na・na(←中心への同時配置ではない) |
| 有契性 | 記号と現実の因果・空間関係 | 「煙」と火の関係 |
| 社会性 | 言語共同体による承認 | 辞書的意味の成立 |
| 分節性 | 無限の意味を有限の音素で表現 | 25個の音素で数百万の語を創造 |
誤答パターン認識:
- 「具象名詞にのみある」という限定表現は言語学では危険
- 有契性は言語全般の問題ではなく、個別的な意味関係の問題
- 恣意性と有契性は異なる概念(恣意性=必然性の欠如、有契性=関連性の有無)