STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第24回 言語聴覚士国家試験 第171問

言語発達障害学第24回
小学校1年生の男児。幼少期からことばの発達の遅れがあった。就学前までには簡単な会話が可能になったが、説明は困難であった。1年生になり、夏休みまでには自分の名前が読めるようになったが、名前の1文字を単独に示されると「僕の名前の字」と言って読めなかった。WISC-IVでの知覚推理指標は97であった。現時点で言語指導の優先順位が低いのはどれか。
  1. 1.音韻抽出課題
  2. 2.日常会話での質問・応答課題
  3. 3.助詞の穴埋め課題 ✓
  4. 4.絵と文字単語の線結び課題
  5. 5.五十音での文字さがし課題

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — 助詞の穴埋め課題 この児童の特徴は「文脈依存的な読み能力」で、知覚推理指標97(平均レベル)であるため認知能力に大きな問題がないことが判明しています。現在の課題は文字単独の処理と音韻処理の基礎的段階にあり、複雑な文法構造である助詞の理解は、基礎的スキルが確立した後の指導課題となります。したがって、現時点では優先順位が低いのです。 --- 【各選択肢の解説】 1. 音韻抽出課題 ✅ 優先順位が高い。名前の文字を単独に示されると読めないという症状は、文脈から言葉を推測する「文脈依存的読み」の段階にあることを示しており、音韻を意識的に処理する能力が未発達です。音韻認識は読み書き習得の基盤となるため、優先的に指導する必要があります。 2. 日常会話での質問・応答課題 ✅ 優先順位が高い。就学前には「簡単な会話が可能」とあるため、実生活の会話能力を拡張することは、機能的コミュニケーション改善に直結します。児童が実際に機能させられる領域を強化することは現時点の優先課題です。 3. 助詞の穴埋め課題 ❌ 優先順位が低い。助詞(「を」「に」「は」など)の理解・使用には、音韻認識、単語理解、文法構造の理解などの基礎スキルが統合的に必要です。現在この児童は文脈のない単独の文字読みで困難を示しており、基礎的な音韻処理と単語認識の段階にあります。複雑な文法要素である助詞の習得は、これらの基礎が定着した後の指導課題となります。 4. 絵と文字単語の線結び課題 ✅ 優先順位が高い。文字と意味の結びつき(セマンティック処理)を強化する課題であり、文脈依存的な読みから文脈非依存的な読みへの移行段階で重要です。名前が読める段階にある本児にとって、他の単語理解を広げることは基礎的段階です。 5. 五十音での文字さがし課題 ✅ 優先順位が高い。単独の文字認識と音韻対応を強化する課題であり、名前の文字を単独では読めないという現在の困難に直結しています。文字認識の基礎を固めることは早期段階の優先課題です。 --- 【試験対策ポイント】 比較表:本児の発達段階と指導優先順位 | 発達段階 | 指導内容 | 優先度 | 根拠 | |---|---|---|---| | 基礎:音韻認識 | 音韻抽出、音韻操作、文字探し | 高 | 文脈のない単独文字が読めない | | 基礎:単語認識 | 絵と文字の対応、単語理解 | 高 | 文脈依存的読みからの脱却が必要 | | 基礎:コミュニケーション | 日常会話での質問応答 | 高 | 実生活機能の向上に直結 | | 応用:文法理解 | 助詞の理解・使用 | 低 | 基礎スキル習得後の段階 | キーポイント: - 知覚推理指標97=認知能力に大きな問題なし→学習可能性あり - 「文脈依存的読み」=文脈から推測できるが、単独の刺激では処理困難 - 助詞習得には「音韻→単語→文法」という段階的な基礎が必要 - 優先順位=「現在の段階で必要不可欠
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