第24回 言語聴覚士国家試験 第172問
言語発達障害学第24回
5歳の脳性麻痺女児。最近ことばの表出がみられるようになったが、発音が不明瞭である。言語指導として適切でないのはどれか。
- 1.やりとりを通して言語発達を促進する。
- 2.舌尖を使ってラ行音を練習する。 ✓
- 3.発声・発語しやすい姿勢を工夫する。
- 4.写真やシンボルでコミュニケーションを促す。
- 5.遊びを通してコミュニケーション意識を高める。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 舌尖を使ってラ行音を練習する。
脳性麻痺児の言語指導では、基礎となる呼吸・発声・姿勢の改善が優先され、その上で自然な言語環境を整備することが重要です。舌尖を意図的に使わせる個別的な音声訓練は、脳性麻痺による構音障害の特性(不随意運動や筋緊張異常)を無視した訓練方法であり、児の努力を無駄にする可能性があります。むしろ、やりとりや遊びなどの機能的・自然な文脈の中で、相互的なコミュニケーション経験を通じて言語発達を促すアプローチが有効です。
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【各選択肢の解説】
1. やりとりを通して言語発達を促進する。
✅ 正しい。脳性麻痺児の言語発達には、大人との相互的なやりとり(ターンテイキング)が不可欠です。児の応答を待つ、興味を引き出す、拡張(expansion)を用いた自然な会話環境が、動機づけを高め言語獲得を促進します。
2. 舌尖を使ってラ行音を練習する。
❌ 誤り。脳性麻痺児に対する個別的な音声訓練は原則として非効率です。脳性麻痺による構音障害は、筋緊張異常・不随意運動・協調性の障害に基づくもので、舌尖の位置だけを修正する訓練では改善しません。むしろ、呼吸・共鳴・音声の基礎を整えた上で、コミュニケーション機能を高める活動の中で構音が自然に改善される方が現実的です。
3. 発声・発語しやすい姿勢を工夫する。
✅ 正しい。脳性麻痺児では全身の筋緊張異常により、座位・立位の姿勢が不安定になります。呼吸を安定させ、舌や唇の動きを促進する適切な姿勢(骨盤固定、脊椎伸展など)を工夫することは、発声・発語の基礎改善に直結し、極めて重要な指導方針です。
4. 写真やシンボルでコミュニケーションを促す。
✅ 正しい。AAC(拡大代替コミュニケーション)の活用は、表出言語が限定的な脳性麻痺児のコミュニケーション権を保証する方法です。図を見つめる、手で指す、選択する行動が強化され、コミュニケーション欲求が高まり、その結果として発語が自然に促進されます。
5. 遊びを通してコミュニケーション意識を高める。
✅ 正しい。発達的アプローチの中核です。遊びは児の主体的参加と動機づけを引き出し、自然な会話や身振り・音声表現が生まれやすい環境です。脳性麻痺児の言語発達には、このような機能的・文脈的な学習環境が成人による強制的な音声訓練よりも有効です。
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【試験対策ポイント】
脳性麻痺児における言語指導の原則:
| アプローチ | 効果 | 根拠 |
|---|---|---|
| 個別的音声訓練(選択肢2) | × | 筋緊張・協調性の問題であり音位だけでは改善しない |
| 姿勢・呼吸・音声基礎改善 | ○ | 構音の土台を整える |
| AAC活用(写真・シンボル) | ○ | コミュニケーション権の保証・発語促進 |
| やりとり・遊びの機能的活動 | ○ | 動機づけと自然な言語習得 |
重要