STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第25回 言語聴覚士国家試験 第140問

音響学第25回
成人男性共通語(東京方言)話者が早口で発話した「おはようございます」を、広帯域サウンドスぺクトログラムとして図に示す。省略されているモーラはどれか。 【図参照】
  1. 1.「は」
  2. 2.「う」
  3. 3.「ご」 ✓
  4. 4.「い」
  5. 5.「す」

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — 「ご」 早口での発話により、音韻的に弱いモーラが脱落する現象が生じます。「おはようございます」の7モーラのうち、「ご」は直前の「う」と直後の「ざ」に囲まれた弱い位置にあり、早口時に省略されやすい部位です。広帯域スペクトログラムで時間軸を確認すると、「ご」に相当する時間領域が欠落していることが視認できます。 --- 【各選択肢の解説】 1. 「は」 ❌ 誤り。「は」は文頭の明確な子音を持ち、スペクトログラム上で帯域化した周波数成分として観察されます。早口でも脱落しにくいモーラです。 2. 「う」 ❌ 誤り。「う」は後舌の円唇母音で、独立した音韻要素として機能し、スペクトログラムで明瞭に観察されます。「おはよう」のアクセント核となる位置であり、発話速度に関わらず保持されます。 3. 「ご」 ✅ 正しい。「ございます」の「ご」は音韻的弱さ(鼻音化傾向・短時間性)により、早口時に省略される典型例です。スペクトログラムで当該時間領域の欠落が確認できます。 4. 「い」 ❌ 誤り。「い」は前舌狭高母音で、周波数領域(F1低・F2高)が特異的であり、スペクトログラムで容易に同定されます。脱落しにくいモーラです。 5. 「す」 ❌ 誤り。「す」は語末の清音で、アスペリティ(雑音成分)が強く観察されます。スペクトログラム上で高周波領域に顕著に表示され、脱落することはありません。 --- 【試験対策ポイント】 モーラ脱落の法則(早口発話): | 脱落しやすい | 脱落しにくい | |---|---| | 音韻的に弱い位置 | 文頭・文末 | | 鼻音/半母音を含む | 清母音・母音 | | 短時間継続時間 | 長時間継続時間 | | 子音結合時の中間 | 独立したモーラ | 広帯域スペクトログラム読図のコツ: - 母音:水平帯状の明瞭なフォルマント構造(F1・F2・F3) - 子音(摩擦音):高周波領域の雑音成分 - 鼻音:低周波領域(500Hz以下)の帯状構造 - 時間軸:モーラ数≒視認できる独立した音響単位 「ご」脱落のメカニズム: - 音韻的弱さ:「ございます」は複合語の接頭辞扱い - 音価の短小性:摩擦音化による継続時間短縮 - 前後の音への吸収:「うざ」への音韻融合傾向 - 速度効果:音韻的弱い位置ほど速度の影響を受けやすい
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