STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第25回 言語聴覚士国家試験 第143問

言語学第25回
人称の序列(ヒエラルキー)を考えたとき、一人称を最もウチのものとすると、ソトからウチへの働きかけを描写しているのはどれか。 a.私がゆうきをぶった b.ゆうきが私をぶってきた c.みきが妹に本をくれた d.みきがじゅんに本をあげた e.みきが先生に本を差し上げた 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — b,c 人称の序列(ヒエラルキー)では「1人称>2人称>3人称」という序列があり、「一人称を最もウチのもの」と位置づけるとき、ソト(外)からウチ(内)への働きかけを表現する動詞形を選ぶ必要があります。bの「~てきた」とcの「くれた」は、いずれも話者(ウチ)への向心的な動き、つまり外から内への働きかけを示します。 --- 【各選択肢の解説】 a. 私がゆうきをぶった ❌ 誤り。これはウチ(私)がソト(ゆうき)に働きかける構造です。方向が逆であり、ウチからソトへの遠心的な動きです。 b. ゆうきが私をぶってきた ✅ 正しい。「~てきた」という形式は、ソト(ゆうき)からウチ(私)への向心的な動きを示します。外部からの働きかけが話者に向かってくる構造です。 c. みきが妹に本をくれた ✅ 正しい。「くれる」は授受動詞の中で、話者の側(ウチ)に向かう働きかけを示します。妹(ウチ側)が受益者であり、外からの親切・好意を受ける表現です。 d. みきがじゅんに本をあげた ❌ 誤り。「あげる」は授受動詞ですが、話者を基準にしたときウチからソトへの働きかけ、または第三者間の中立的な授受を示します。ウチへの向心性を表しません。 e. みきが先生に本を差し上げた ❌ 誤り。「差し上げる」は敬語形で、みきからソト(先生)への敬意を込めた働きかけです。ウチからソトへの遠心的な動き、または対外的な配慮を示します。 --- 【試験対策ポイント】 授受動詞の分類(話者ウチを基準) | 動詞 | 方向 | 例 | |---|---|---| | あげる・差し上げる | ウチ→ソト | 私が彼に本をあげた | | くれる・下さる | ソト→ウチ | 彼が私に本をくれた | | もらう | ウチ(受け) | 私が彼から本をもらった | 向心性の表現(ソト→ウチ)の指標 - 「~てきた」:外部からの動きが話者に向かう - 「くれる/くださる」:話者側への好意・親切 - 「もらう」:話者が受け手 遠心性の表現(ウチ→ソト)の指標 - 「あげる/差し上げる」:話者側からの働きかけ - 「やる」:話者からの方向 人称序列との関連 1人称(最もウチ)→ 2人称 → 3人称(最もソト)という序列下で、ウチへの働きかけは「話者にとって都合よい」「利益を受ける」表現として機能します。aとeは逆向き、dは第三者間で中立的であるため、bとcが条件を満たします。
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